2018年9月13日木曜日

浦河に必要な広域公共交通って?道内の鉄道&バスの一元化を(質問原稿全文)

JR日高線が被災してから4年近くになり、残念ながらまったく復旧の見通しがたちません。
代行バスになってからというもの、浦河駅から苫小牧まで4時間以上かかるようになりました。
しかもその間、乗り換えが二回。
さらには、運賃の支払い方法や乗降場所、ルートの度重なる変更がありました。 

浦河「駅」ではなく国道沿いの停留所で発着する代行バス


現在、乗り場は駅なのか、国道沿いなのか。
運賃はどう払えばいいのか。
この場に即答できる方はいらっしゃるでしょうか。

住民ですらわかりづらいのですから、はじめて使おうという方には事実上利用不可能だといっても過言ではありません。
事実、あまりの不便さに輸送密度は被災前に比べて3割以上減少しています。

この実情をもって、時間とお金をかけても日高線を復旧すべきか、バス転換により利用者の不便を早急に解決すべきか、管内住民の間でも大きく意見が割れていると承知しています。 

日高線はバス転換を含む選択肢から結論


こうした中、7月末に開かれた沿線自治体の町長会議では、3つの案から検討して11月までに考えをまとめると報じられました。

3つの案とは

  1. あくまで全線復旧、
  2. 鵡川-日高門別間のみの復旧、
  3. 全線バス転換

です。

日高線沿線として、はじめてバス転換も選択肢に挙げられました。
これはこれまでの日高線の全線復旧を大前提としてきた沿線7町の立場とは明らかに異なります。

そこで項目1の質問です。
当町としては、今後の協議においてどのような考えで臨むつもりなのでしょうか。
協議においては、JR北海道が自治体に対して8つの支援策を示しているところです。これに対する評価を含め、見解を伺います。 

不便な代行バスがなし崩しに残ることだけは避けたい


項目2に移ります。
バス転換も選択肢のひとつとして机上にある現状。
ということは、いくら全線復旧を訴えても、場合によってはバス転換の可能性も現実にあるものだと理解しています。
万が一バス転換の方針が決まった場合、それから「さて、どうするか」と考えるのでは遅きに失する。

沿線の七町ではそれぞれの立場や利害も異なります。
どの選択肢を選ぶことになるのか。
合意を得るには大変な困難が予想されます。
話がまとまらなければ、最悪、この不便な代行バスだけがなし崩し的に残るという悲惨な事態になるのではないか、と大いに危惧しています。

こうした事態を避けるためにも、この際、当町の立場として公共交通に何を求めるのか。
これだけは外せないという要件をしっかりとおさえて協議に望む必要があります。

また11月までに結論をまとめるという大変タイトなスケジュールです。
他町にも呼びかけ、早急にこうした観点から論点を整理して協議すべきだと考えますが、町の見解を伺います。

浦河に必要なのはまず都市部と空港へのアクセス


項目3です。
では、私たちは公共交通に何を求めるのか。
ここが今回特に訴えたいところであります。

日高線がこうして長きに渡って運休し、バス転換も選択肢に浮上する中、今こそ、どのような公共交通が必要なのか自治体自ら考える機会なのだととらえています。
あらためて考えてみますと、私としてはやはり都市部への日帰りアクセスと空港へのアクセス、それから広域の交通網の確保を保証していただきたい。

まず都市部へのアクセス。
国交省の考える日帰り圏とは概ね片道2時間半の範囲だそうです。
鉄道においては実現していた2時間半での都市部へのアクセスは今後も保証されるべきだと考えます。
これは当町にとって、住民の専門医療や買い物の需要に応えることにつながります。

それから空港へのアクセス。
この7月末をもって従来の新千歳行き特急うらかわ号が廃止され、8月からひだか優駿号が新設されました。
ありがたいことに空港までは3時間と、従来から1時間も短縮されて利用できる水準になりました。
一方、苫小牧中心部へのアクセスは困難になりました。双方必要なものです。

最後に、広域の交通「網」=交通体系であります。
今ある代行バス含むバス路線は、一般に暮らしている我々ですら大変わかりづらい。
まして地域外からはじめてくる方はなおさらです。 

利用者がわからない公共交通は無きに等しい


先日函館からお客さんがいらっしゃいましたが、浦河にどのように来ればよいかわからなかったそうです。
結局その方には函館から列車で苫小牧まで来ていただき、知人が浦河から苫小牧まで車で迎えにいったそうです。

しかしよくよく調べてみると、昼過ぎに函館をスーパー北斗で出発して南千歳まで来て、今回新設されたバス路線である「ひだか優駿号」に乗り換えれば19時半には浦河に着くようです。
函館から浦河まで7時間ほどで着くならさほど悪くありません。
バスのルートを見直して所要時間を1時間ほどはやめ、かつ他路線との乗り継ぎも考慮いただいた結果とありがたく思います。

しかしこのようなアクセスの仕方、マニアはともかく、一般の方が果たしてわかるでしょうか。
今一度、利用者目線にたってみる必要があります。
利用者がみつけられない公共交通は、ないに等しいわけです。

こうした観点にたてば、日高に限らず、北海道全体の交通「網」として列車やバスがまったく機能していない。
路線ごとの話ばかりで、全道的な交通体系としての議論がなされていません。

JRが売りに出しているお得な周遊きっぷやフリーパスだって、バスには適用されない。
適用されなければ当然これを利用する観光客は、バス路線沿線に来るわけがありません。
道や国のいうインバウンドも観光振興も何もない。
通常の用を足しに来ることすら叶わない。

時刻表と運賃を一元化した全道的な交通網の保障を


ハードルは高いと思いますが、この際、北海道内の交通体系を一元化する提言を町村会として、国や道に強く訴えるべきではないか。
北海道内すべての鉄道とバス両方の時刻表と運賃体系の一元化であります。

今、全道各地で廃線が議論される中、同様の問題意識を抱える自治体も多くあるはずです。
浦河、日高にとどまらない広い視野にたったこうした交通「網」としての考え方の重要性を、少なくとも協議会でしっかり共有いただきたい。 

あらためて項目3をまとめます。
当町としては、都市部への日帰りや空港へのアクセスの確保を最重要視するとともに、この際鉄道と都市間バス等の交通体系を全道的に一元化する提案もすべきではないでしょうか。

地域「内」の交通は厳しくとも自分たちでやる覚悟を


最後に項目4であります。
とはいえ、望むことばかりを一方的に主張してばかりでは叶うものも叶いません。
浦河町として責任をもってこれだけはしっかり私たち自身でやるのだという覚悟も合わせて必要ではないでしょうか。
そしてそれは私の見解では、地域内の交通は自分たちで取り組む意思を示すことだと考えます。

先程のように、持続的で利用可能な広域の公共交通については、道や国が責任をもって確保していただきたい。
そのように道内の他自治体とも連携してしっかりと要請していく。
と同時に、高校への通学を含む地域内の交通は自治体がしっかりと責任をもって担っていく。
こうした覚悟を示すべきではないでしょうか。