2016年5月3日火曜日

誰でもわかる議会のしくみと現状 - 浦河町の場合

先日、はじめての活動報告会を実施しました。
手探りでやってみましたが、お忙しいところ8名の方にお越しいただきました。関心を寄せていただき、ありがたいことです。

活動報告といっても「わからないなりになんとかやってきた」というのが正直なところで、まずは一年の経験でわかったことやその感想を簡単にお伝えし、その後参加者からいただいた質問をもとにお話する形をとりました。
結果として、議会とはどういうところで、議員の仕事とはどういうものなのかという私なりの理解をお話することになりました。

議員にできること、あるいはできなくなること。
議員になる前に想定していたこととずいぶん違った部分もありました。

参加者からは「そうだったんだ!」と議会活動に理解を示していただいたり、関心をもっていただけたようで、まずはやってよかったとほっとしました。
少人数で2時間というとても濃い時間だったのですべては報告できませんが、ここではそのうちの一部「議会の仕組み」について説明してみます。

「定例会」と「臨時会」からなる「本会議」


一般的に「議会」という時、何をイメージするでしょうか。

浦河町はウェブで中継をしていますし、それをご自宅や文化会館、役場のモニターなどでご覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれません。
あの中継はいわゆる「本会議」と呼ばれるものです。

本会議にも2種類あり、必ず行われる「定例会」が年4回
3月、6月、9月、12月です。
「一般質問」と呼ばれる町政方針を質す場は、この定例会でしかできません。議会だよりも定例会ごとに発行しています。

それ以外に「臨時会」があり、昨年は4回でした。
昨年は選挙があったので、改選後の委員割当があったり、主に補正予算が審議されました。

図にするとこんな具合です。


短いもので1日ですが、2~3日ということが多いです。
3月の予算議会だけは2週間ほどの会期をとります。

実際の議論の場である「委員会」


中継や議場だけをみて「議会ではあまり議論していない」と言われることもありますが、一般的に本会議で多数の議案を審議したり、細かく議論すると効率が悪いと考えられています。
そこで「委員会」と呼ばれる機関が部門ごとに設けられ、踏み込んだ議論はここでされているのが実情です。

浦河は現在、「厚生文教常任委員会」と「総務産業建設常任委員会」というふたつの常任委員会があります。
前者は教育や福祉など、後者は産業や土木建設などをテーマに扱います。
「常任」の言葉どおり常に設置されていていつでも議論できますが、必要に応じて招集され、浦河ではそれぞれ年に10~20回程度です。

図にするとこんなイメージです。


議長を除く全議員がどちらかに必ず属していて、私は「厚生文教」です。

しかし、無会派の私はできる限り「総務産建」の傍聴も心がけています。
「会派」(後述します)に属していれば間接的に意見できるのですが、基本的には一般町民と同じで傍聴しかできません。

それ以外にも議会の運営のあり方を議論する「議会運営委員会」、議会だよりの編集を刷る「議会広報特別委員会」、今年設置された「議員定数調査特別委員会」など、テーマ別に設けられている委員会があります。
また浦河にはありませんが、毎年3月に議論される予算を、本会議ではなく「予算委員会」を設置して議論する自治体が多いようです。

本当は「委員会」を傍聴していただくと議論の様子をご覧になれるのですが、傍聴者がいないのが現状です。
スケジュールはこちらから確認いただけますので、お時間ある方はぜひお越しください。

いわゆる「議会」とは、上述の「本会議」と「委員会」をあわせたものと考えていただければ間違いないと思います。

その他の議員活動


では、「議会」以外の時間は議員は何をしているのでしょうか。
実は法律や制度で定められているわけではなく、完全に議員の自主性に委ねられています。

例えば、議会で議論するための資料は、議会事務局から一週間前に郵送で届けられます。
それを読んで必要に応じて調べ物をしたり、みなさんの声を聞くことになります。

ところが調べると言っても、議員が個人で活動するための経費に予算があるわけではありません。
他所の自治体の実態を調べに行ったり、関連書籍を購入したり、勉強会に出席したり、何をするにしても自分の財布から捻出しなければなりません。
活動費補助がある政党もあるそうですが、多くの町村議員は議員報酬の中でやりくりするか、さらに本業の収入から自腹で活動するようです。

あるいは、先日実施したような報告会を開催したり、報告通信を作成して配布したりするのも同じです。
何かをすればするほど議員個人の支出は増えるため、積極的に活動するかどうかは基本的には各議員のモラルに委ねられていると言えるでしょう。今の仕組み上、個人的に活動するインセンティブは4年ごとの選挙以外にはないだろうと思います。

また、議員になるとそれなりに身動きがとりづらくなります。

例えば「委員会」は平日ですが、いつ開催されるかわかりません。
議会事務局のほうで委員のスケジュール把握に努めていますが、事務局と正副委員長で日程を調整しますので、一委員としては一週間前に突然知らされるような格好になります。

さらに各種行事に議員として「来賓」のご招待が届きます。
一ヶ月ほど前に招待状が届くことが多いですが、これも平日の日中に行われることが多いです。

そこで「会派」と呼ばれる国会で言えば政党のようなものが浦河ではつくられています。(もちろんそれ以外にもつくる理由はありますが、今は置いておきます。)
様々な専門分野や地域を代表する複数の議員が集まれば、こうした多様な調査を分担したり、負担を軽減することができます。
委員会もどちらかにメンバーがいて情報や意見の交換ができれば、基本的には両方出席する必要がなくなるわけです。

まとめて図にするとこんなイメージでしょうか。


上述したように、右の「個人活動」は完全に自主的なものです。
もちろん議会の取り決めとして事実上の義務化、あるいは逆に廃止もできるはずですが、一般的な感覚としてどういう仕組みになっていれば実際に立候補できると思えるでしょうか。

ところで、浦河町の議員報酬は額面で17.5万円ですが、私の場合、各種会費や住民税、国民健康保険、国民年金などの義務的支出を支払うと手元に残るのは10万円程度です。
これに年に2回の期末手当(計60万円)があります。

これを高いと思うか安いと思うかわかりませんが、この報酬で住民から「あれもこれもやって当たり前で、やらない方がおかしい」と思われていれば、新たになりたいと思う若い人はいなくても当たり前かもしれないというのが率直に思うところです。
ですから、議員の仕事として「何を、どこまで」役割として担ってもらうのかということを決めて共通認識を持たなければ、新しいなり手も増えませんし、定数削減も議論できないと考えています。