2016年5月30日月曜日

議員定数を減らす理由は「声が多いから」と「まわりが減らすから」?

5月27日(金)は議員定数調査特別委員会でした。
議場で開催されていますので、録画もアーカイブされていきます。前回の議論の内容は下記からご覧になれます。

慎重論や明確な反対も。浦河町の議員定数と議会のあり方をどうすべきか?


過去に議員定数を減らした理由


今回はまず冒頭で、前回に要請のあった過去に議員定数を減らした際の資料説明がありました。

浦河町の議員定数の推移

浦河町でははじめに、平成11(1999)年から平成14(2002)年にかけて特別委員会で議論されました。この時に定数を2減らしています。
次に、平成17(2005)年から一年かけて特別委員会で議論、再び定数を2減らしています。

はじめて知ったのですが、過去に減らした主な理由は「町民の声が多いから」「そういう社会情勢だし、まわりの市町村も減らしているから」なのですね。
正直言って、それだけの理由だったのかとちょっとびっくりしてしまいました。

次に、町民の声をきく懇談会の開催について議論されました。

定数を減らす理由は明確か


みなさんは議員定数について、議員全員が参加して声をきく場があれば来ていただけるでしょうか?

内容や方法については議論の余地があると思いますが、私はしかるべきタイミングで議会として一度開催するべきだと考えます。
しかし、それは今すぐではないと思ってます。

この特別委員会の設置の目的について「定数は早急に結論し、新人が出やすい環境を早めにつくるため」と議長からは示されています。
これが委員会として一致させなければならない方針ですし、全員が理解している点だと思います。
しかし前回の委員会では「定数は多いほうが新人がでやすい」という意見に有効な反論がないまま中断しており、このままでは逆に定数維持という早めの結論が出てしまいかねません。

私の知る限りでは定数は削減すべきとの声が多いですし、他の市町村と比べて人口規模の割に議員数が多いことは確かです。
私も削減の立場です。
でもその前に一度立ち止まって考えてほしいのです。「なぜ減らすべきか」と。
それは本当に自分たちにとって良いことなのか、と。

「だって、みんなが言ってるから」
「だって、まわりがそうしてるから」

それではまったく理由になっていません。
子どもがおもちゃを買ってもらうために駄々をこねる理屈とまったく同じです。

議会への不満をどう解決するのか


「減らせ」という声はそもそもなぜ生まれてしまうのでしょうか。
それは「今の議会に不満がある」という気持ちの現われではないでしょうか。あるいは具体的に不満のある特定の議員がいるのかもしれません。
いずれにせよ、その不満は定数を減らせば解決するものでしょうか

何度か言及してますが、行政の執行権はかなり強いものです。
一般論として、議会がその執行権に対する抑止力として機能するためには、議会活動としても相応の質と量が必要だと認めざるを得ません。実際に機能しているかどうかは別にしてです。
ただ減らしただけでは、その不満が一層募る可能性も考慮しなければなりません。

今開催すれば、減らすべきという声が多くあがるだろうと思います。
私としてはそれは重々承知しています。
それだけに、その点を確認するだけではあまり意味がないと思います。

せっかく開催するのであれば、議会としてもう少し議論して、定数を考える論点がもう少し洗い出されてからでよいと考えます。
住民からでた意見に対して「それについてはこういう意見があった。それについてさらにどう考えますか」とやりとりできなければ、それこそ「議会は何を議論してるんだ」となってしまうでしょう。

「減らせ」というのは簡単ですが「なぜそう思いますか?」の問いに答えられるでしょうか。
委員会でもまだその議論が深まっているとは言えない状況です。

一方、「議会は町民が代表を選んで議論する場であり、それで町民の声は反映される。懇親会開催の必要はない」との意見もありました。
「一般論としては正しいが、去年は無投票であり、私を含む全員が選ばれてここにいるわけではない。必要ならば場をもつべき」と意見しました。

結局意見がわかれて紛糾しましたが、開催の判断は保留となりました。
次回は今後のスケジュールの目処が示されるとのことです。


2016年5月23日月曜日

下水道長寿命化計画や町有地処分他計4件を総務産建設で審議

記事が前後してしまいましたが、5月16日(月)総務産業建設委員会を傍聴しました。
4案件でした。

浦河町税条例等の一部改正(専決処分)


毎年税制は少しずつ変わっているのですが、国の法律に合わせて浦河町の条例も変更になりました。
地方税にかかわる部分なのですが、一応総務省からはその概要が示されています。わかりづらいですが、町からは私たち町民にもわかりやすいように補足説明がありました。

増税になるのは、基本的に軽自動車税です。
少し複雑なのですが、要するに古い車は増税になり、環境に配慮した車の購入者には軽減措置があるといった内容です。
少しでも環境負荷の低い車に買い換える動機をつくり、省エネを促す方針ということですね。

たばこ税は少しずつあがっていますが、今年は据え置きでしたね。
現在は一箱あたり約100円が町税として納められています。

住民税で新しくできるのが、医療費控除(スイッチOTC控除)の特例です。
一般の薬局で購入した医薬品が1万2千円を超えると、超えた金額分が所得から控除されます。期間は2017年1月1日からです。

法人税率は下がるのですが、国と道と町の配分が変わります。
国が徴収する率が増える(+5.9%)一方、地方の率が下がります(道-2.2%、町-3.7%)。
その差は地方交付税で調整して配分する国の方針です。

固定資産税は、災害時の避難施設や特定再生エネルギー発電設備などにおいて軽減税率が適用されます。

町制施行100周年記念事業決算


100周年記念事業は1,747万円で決算されました。

大きなものは記念グッズ(絵馬、うちわ、のぼり、ピンバッジなど)制作費、記念誌などの印刷製本費、交流会などの食糧費といった需用費の806万円や、記念映像制作委託料345万円記念碑設置216万円などです。

今回制作した浦河讃歌ですが、曲と詩は完成し、編曲中のためお披露目はもう少し先になるとのことです。

町有地の売払い


JR浦河駅前の633㎡をタイヤ販売店に売却する報告です。
国道拡幅工事の代替用地として取得したものですが、事業は終了しており、また購入の申し出があったためとしています。

売却金額は405万円(6,400円/㎡)で、5月中に契約する予定です。
平成4年の取得当時は19,000円/㎡でしたが、付近の地価低下や盛土造成の当事者負担が500万円程度かかる事情を勘案したとのことです。

個別の契約内容は妥当なのかもしれませんが、その前にそもそも築地をどのような地区にしていくのかという方向性やその中での位置づけが必要なのではないでしょうか。

公共下水道の長寿命化


平成4年に供用開始された下水道設備の老朽化が進んでいます。
全体の中から特に重要度が高いと判断した部分について、予防保全を計画的に進める考えです。
壊れてから直すという事後保全では、生活に支障が出たり、コストも余計にかかってしまうからです。

町内上下水道施設の議会視察(昨年10月)

全体としては計15年間にも渡る計画ですが、今回案として提出されたのは第1期5年間(2016~2021年)にかかる事業費概算5億4500万円の部分です。
具体的な内容は専門的すぎてわかりませんが、財源は半分が国の補助金残り半分は町の起債です。
これによる受益者負担の増加は想定しておらず、今後の下水道料金の値上げは検討していないとの説明でした。


2016年5月18日水曜日

「まちなか元気ステーション」は継続審議。厚生文教で計5件を審議

5月17日(火)の厚生文教常任委員会の報告です。案件は5つでした。

浦河町国民健康保険税条例の一部改正(専決処分)


以前の委員会でもかかっていた国民健康保険の「課税限度額の引き上げ」と「低所得者に対する軽減措置」の件です。
国の法律改正にあわせて、町の条例も文面が変更されました。
その専決処分の報告です。同じようにどの市町村も条例改正が行われているはずです。

厚労省の説明資料がありますが、ちょっとわかりづらいですね。
昨年度の改正時のものにはなってしまいますが、この「All About」の記事がわかりやすいかもしれません。

町内小学校で発生した事故に係る訴訟(報告)


2014年4月に町内小学校で子どもの転倒事故がありました。
保護者から小学校設置者である浦河町に対して慰謝料を求める訴訟がありましたが、棄却された旨の報告がありました。

小中学校で使用する教科書の謝礼問題(報告)


各社報道のとおり、全国で教科書会社が教員らに検定中の教科書を見せ、謝礼を渡す事案がありました。
その北海道教育委員会の調査結果が報告されました。

北海道内で謝礼を実際に受け取ったのは延べ380名。
しかし教科書選定委員会の議事録精査を通じた調査の結果、金銭授与が採択そのものに影響を及ぼした事例はなかったとのことでした。
対応として、謝礼は全額返却、選定委員の資格再調査を行うとしています。

浦河町で採択される教科書は、日高管内7町村の共同採択によるものだそうです。
つまり、7町村はどこも同じ教科書を扱っているということですね。

まちなか元気ステーション整備計画(案)


以前も案件にあがっていた「まちなか元気ステーション」の継続審議です。
主に当該施設の「立地」「目的や内容」をめぐる議論でした。
町側から新たな見解はなく、あらためてこの計画についての質問や意見がありました。

候補地のMiO空きスペース

まず立地ですが「今まで役場庁舎内で完結していた関連窓口への案内や連携に不便が生じるのではないか」との意見に対して「利用者に不便が生じないよう、やりながら仕組みを考えていく」との考え方が示されました。
また移動手段にかかわる利便性については、別途設けられている「地域公共交通確保維持改善協議会」でも議論されていきます。

さらに検討にあたっては「やはり家賃・使用料の議論抜きには委員会として結論できない」との意見が出ました。
具体的な金額は契約先他関係者との兼ね合いもあり、前回ともに難色が示されていましたが、参考価格として施設使用料の定価が示されました。
報道には出ていましたが、一応ここでは差し控えたいと思います。

次回はMiOではなく新設にした場合の参考価格の提示も町側に求め、今回示された参考価格も踏まえながらの議論になります。

続いて目的や内容についても議論されました。

改修計画図案(再掲・クリックで拡大)

前回と重複になりますが、私からは下記の通り意見しました。

介護予防や認知症を念頭に置いた町民の健康増進、子育て支援といった目的は理解できるし、推進すべきだと思うが、それは執行側として推進したい施策に過ぎない。
まちなか元気ステーションはその「目的」を達成するための「手段」。
まず来てもらえばければその目的は達成されない。
きちんと町民が進んで利用したいと思えるような施設にすることを強く要望する。
また(総務産建委の話題かもしれないが)そうしてMiOの中に集客装置をつくるならば、健康や福祉といった観点だけでなく、MiOのまわりにある中心市街地・商店街のビジョンも必要だ。

これに対して山根副町長は「喜んでもらえるものをつくるのは当然で、商店街として何が提供できるかももちろん考えていかなければならない」と答弁がありました。
前回含めて他の意見も様々ありましたが、これらの点も踏まえて具体的に深掘りしていくため、次回は見取り図の改善案の提出が求められました。

学校ICT推進委員会(追加)


その他で木下委員より学校ICT推進委員会について案件提案があり、了承されました。
まわりの町民のみなさんからも関心の高かったタブレットですが、導入にあたっては推進委員会を設けて議論していくと説明があったところです。その内容についてです。

今回の厚生文教委員会と同日の17日(火)15時半より第一回目が開催。
構成員は校長、教頭が各一名、各小中学校教諭が2名ずつとのことでした。
議論する内容はICT環境整備と利活用方法の検討だそうですが、具体的にはタブレットの機種や学習ソフトの検討と選定、そしてその利活用についてでした。
今後は月に1、2回開催していく予定です。

現場の教員や担当職員は教育の専門家ですが、いくら導入にあたって勉強したとしてもICT分野の専門家ではありません。
昨年は文部科学省も手を上げた自治体へのアドバイザー派遣事業を行っていますし、導入が決まったからには、検討や実施にあたって専門的知見も汲み上げるようにしてほしいと強く要望しました。


2016年5月15日日曜日

運休から1年半のJR日高線。国会で議論されるも国は現状容認


5月13日(金)の衆議院国土交通委員会にて畠山和也委員(日本共産党)が現在運休中のJR日高線について質問をされていたようです。
映像はこちらからご覧になれますが、関心も高いと思いますのでやりとりを書き起こしてみました。
なお公式な議事録ではありませんので、一字一句まで正確とは言えない点ご了承下さい。


代行バスは妥当な運行状況か


(畠山和也委員)
JR日高線の不通区間は116kmに及び、これは東京-熱海間を超える長い区間です。他に100キロを超える長距離の代行バスの事例はあるのか。
現状をやむなしと思っているのか、認識は。
 
(藤田耕三鉄道局長)
代行バスは鵡川-静内間の51kmと静内-様似間の64kmの二系統で運行され、計116km。
これまで常磐線の竜田-原ノ町間の46kmが最長で、100kmを超える代行バスはない。
運行に関して、高校生の登下校時間に合わせたり、運行系統を見直したりと、JR北海道はできる限りの努力をしていると認識している。

(畠山委員)
実態をよくみてほしい。
北海道だから冬道、悪天候もある。
国道から離れて駅前まで細い道にも入る。
これにより、所要時間にも影響がある。
例えば1時間10分だった鵡川-静内間は現在1時間48分かかっており、鉄道の1.5倍くらい。高校生の部活動や塾、講習にも制約が生じている。

それから深刻なのは、車いすの方の話。
代行バス乗車のために、一カ月前の予約が必要だと言われている。
JR北海道によると介護事業者へ介助依頼が必要とのことだが、ご本人が通う病院の担当は専門医であり、一ヶ月前の予約は確定できない。

また、代行バス内ではお金を取り扱っていない。
そのためバス停と離れた駅舎へ切符代を払いに行く不便がある上、観光客はこうした仕組みはわからない

公共交通として法に定められた国の責任は


色々言ったが、一体これで公共交通の機能を果たしていると言えるのか。
ここで交通政策基本法を確認したい。
第16条、第17条を読み上げて下さい。

(藤田局長)
(日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保等)
第十六条  国は、国民が日常生活及び社会生活を営むに当たって必要不可欠な通勤、通学、通院その他の人又は物の移動を円滑に行うことができるようにするため、離島に係る交通事情その他地域における自然的経済的社会的諸条件に配慮しつつ、交通手段の確保その他必要な施策を講ずるものとする

(高齢者、障害者、妊産婦等の円滑な移動のための施策)
第十七条  国は、高齢者、障害者、妊産婦その他の者で日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受けるもの及び乳幼児を同伴する者が日常生活及び社会生活を営むに当たり円滑に移動することができるようにするため、自動車、鉄道車両、船舶及び航空機、旅客施設、道路並びに駐車場に係る構造及び設備の改善の推進その他必要な施策を講ずるものとする。

(畠山委員)
そこで、石井大臣に問います。
読み上げられた法の内容は、先ほど紹介した実態と乖離しているのではないか。

(石井啓一国土交通大臣)
昨年より復旧方針を北海道、JR北海道、国交省の三者会議にて検討中。
また交通手段の当面の確保のためJR北海道が代行バスを運行している。
この措置は交通政策基本法の考え方に沿ったものであると考えている。

(畠山委員)
そうなっていない現状を紹介したわけです。
国が主語になっているではないか。
いつまでも代行バスに頼るのではなく、国が責任を持って日高本線の復旧を行うと明言すべき

(石井大臣)
三者会議で復旧にかかる多額費用の負担について議論し、JR北海道と自治体との間で持続的な運用方法も協議中。
国交省としては、協議の場を通じてそれぞれ何ができるのか議論を深め、関係者の調整が促進されるよう努める

(畠山委員)
「調整に努める」と今まで何度も聞いてきたが、しかしまもなく1年半になる。
復旧の方針さえ決まらず、JR北海道も今後の経営が見通せない。
国の責任を問うべき段階ではないか。

国鉄の分割民営化の再検証は


矛盾があるのはそもそも国鉄民営化が原因と考える。
国鉄分割民営化から今年で29年。
民営化の際には、このような附帯決議が付されている。

二、各旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社の輸送の安全の確保及び災害の防止のための施設の整備・維持、水害・雪害等による災害復旧に必要な資金の確保について特別の配慮を行うこと。

ここで民営化についての国の認識を問いたい。
JR北海道の経営内容についても問わなければならないが、現状のような赤字路線を抱える困難も見通せていたはずである中、あらためて国の責任も問われるべき

(石井大臣)
国鉄の一元的な経営をあらため、健全な経営基盤を確立するのが民営化の趣旨
約30年経過し、人口減少や道路の整備進展など事情の変化も踏まえながら、引き続き国鉄改革の趣旨に沿って必要な支援をとっていく。

(畠山委員)
今、手元に民営化の際の自民党の広告がある。

1986年5月22日朝日新聞(17面)に掲載のものと思われます

全国画一からローカル優先のサービスに徹します」とある。
地元自治体も住民も受け身ではなく、利用促進策に知恵を絞っている。
今度はJRや国が応える番ではないのか。なぜ新幹線ばかりで、在来線支援の旗を振らないのか。
JR北海道に矛盾が噴出しているのは、根本的に民営化に端を発するもの。
そろそろ検証が必要な時期を迎えているのではないか。

(石井大臣)
分割民営化によって効率的で責任ある経営が実施できている。
信頼や快適性は格段に向上。
経営面もJR本州三社は自立、そしてJR九州も上場に向けて順調に推移。
一方、JR北海道、JR四国、JR貨物の三社については自立化できる状態にない
今まで経営安定基金の積み増し、設備投資助成、無利子貸付といった措置を通じて着実に取り組んできた。

(畠山委員)
これまでやってきたとはいえ、ますます大変になるのではないか。
減便、駅の廃止に直結する。
当時からも民営化でバラ色になると喧伝されてきたが、しかしJR北海道の現状をみて胸をはれるかといえば決してそんなことはない。

JRを守りもしないで何が地方創生かという声もある。
あらためて分割民営化について再検証することを求めて終わります。


2016年5月3日火曜日

誰でもわかる議会のしくみと現状 - 浦河町の場合

先日、はじめての活動報告会を実施しました。
手探りでやってみましたが、お忙しいところ8名の方にお越しいただきました。関心を寄せていただき、ありがたいことです。

活動報告といっても「わからないなりになんとかやってきた」というのが正直なところで、まずは一年の経験でわかったことやその感想を簡単にお伝えし、その後参加者からいただいた質問をもとにお話する形をとりました。
結果として、議会とはどういうところで、議員の仕事とはどういうものなのかという私なりの理解をお話することになりました。

議員にできること、あるいはできなくなること。
議員になる前に想定していたこととずいぶん違った部分もありました。

参加者からは「そうだったんだ!」と議会活動に理解を示していただいたり、関心をもっていただけたようで、まずはやってよかったとほっとしました。
少人数で2時間というとても濃い時間だったのですべては報告できませんが、ここではそのうちの一部「議会の仕組み」について説明してみます。

「定例会」と「臨時会」からなる「本会議」


一般的に「議会」という時、何をイメージするでしょうか。

浦河町はウェブで中継をしていますし、それをご自宅や文化会館、役場のモニターなどでご覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれません。
あの中継はいわゆる「本会議」と呼ばれるものです。

本会議にも2種類あり、必ず行われる「定例会」が年4回
3月、6月、9月、12月です。
「一般質問」と呼ばれる町政方針を質す場は、この定例会でしかできません。議会だよりも定例会ごとに発行しています。

それ以外に「臨時会」があり、昨年は4回でした。
昨年は選挙があったので、改選後の委員割当があったり、主に補正予算が審議されました。

図にするとこんな具合です。


短いもので1日ですが、2~3日ということが多いです。
3月の予算議会だけは2週間ほどの会期をとります。

実際の議論の場である「委員会」


中継や議場だけをみて「議会ではあまり議論していない」と言われることもありますが、一般的に本会議で多数の議案を審議したり、細かく議論すると効率が悪いと考えられています。
そこで「委員会」と呼ばれる機関が部門ごとに設けられ、踏み込んだ議論はここでされているのが実情です。

浦河は現在、「厚生文教常任委員会」と「総務産業建設常任委員会」というふたつの常任委員会があります。
前者は教育や福祉など、後者は産業や土木建設などをテーマに扱います。
「常任」の言葉どおり常に設置されていていつでも議論できますが、必要に応じて招集され、浦河ではそれぞれ年に10~20回程度です。

図にするとこんなイメージです。


議長を除く全議員がどちらかに必ず属していて、私は「厚生文教」です。

しかし、無会派の私はできる限り「総務産建」の傍聴も心がけています。
「会派」(後述します)に属していれば間接的に意見できるのですが、基本的には一般町民と同じで傍聴しかできません。

それ以外にも議会の運営のあり方を議論する「議会運営委員会」、議会だよりの編集を刷る「議会広報特別委員会」、今年設置された「議員定数調査特別委員会」など、テーマ別に設けられている委員会があります。
また浦河にはありませんが、毎年3月に議論される予算を、本会議ではなく「予算委員会」を設置して議論する自治体が多いようです。

本当は「委員会」を傍聴していただくと議論の様子をご覧になれるのですが、傍聴者がいないのが現状です。
スケジュールはこちらから確認いただけますので、お時間ある方はぜひお越しください。

いわゆる「議会」とは、上述の「本会議」と「委員会」をあわせたものと考えていただければ間違いないと思います。

その他の議員活動


では、「議会」以外の時間は議員は何をしているのでしょうか。
実は法律や制度で定められているわけではなく、完全に議員の自主性に委ねられています。

例えば、議会で議論するための資料は、議会事務局から一週間前に郵送で届けられます。
それを読んで必要に応じて調べ物をしたり、みなさんの声を聞くことになります。

ところが調べると言っても、議員が個人で活動するための経費に予算があるわけではありません。
他所の自治体の実態を調べに行ったり、関連書籍を購入したり、勉強会に出席したり、何をするにしても自分の財布から捻出しなければなりません。
活動費補助がある政党もあるそうですが、多くの町村議員は議員報酬の中でやりくりするか、さらに本業の収入から自腹で活動するようです。

あるいは、先日実施したような報告会を開催したり、報告通信を作成して配布したりするのも同じです。
何かをすればするほど議員個人の支出は増えるため、積極的に活動するかどうかは基本的には各議員のモラルに委ねられていると言えるでしょう。今の仕組み上、個人的に活動するインセンティブは4年ごとの選挙以外にはないだろうと思います。

また、議員になるとそれなりに身動きがとりづらくなります。

例えば「委員会」は平日ですが、いつ開催されるかわかりません。
議会事務局のほうで委員のスケジュール把握に努めていますが、事務局と正副委員長で日程を調整しますので、一委員としては一週間前に突然知らされるような格好になります。

さらに各種行事に議員として「来賓」のご招待が届きます。
一ヶ月ほど前に招待状が届くことが多いですが、これも平日の日中に行われることが多いです。

そこで「会派」と呼ばれる国会で言えば政党のようなものが浦河ではつくられています。(もちろんそれ以外にもつくる理由はありますが、今は置いておきます。)
様々な専門分野や地域を代表する複数の議員が集まれば、こうした多様な調査を分担したり、負担を軽減することができます。
委員会もどちらかにメンバーがいて情報や意見の交換ができれば、基本的には両方出席する必要がなくなるわけです。

まとめて図にするとこんなイメージでしょうか。


上述したように、右の「個人活動」は完全に自主的なものです。
もちろん議会の取り決めとして事実上の義務化、あるいは逆に廃止もできるはずですが、一般的な感覚としてどういう仕組みになっていれば実際に立候補できると思えるでしょうか。

ところで、浦河町の議員報酬は額面で17.5万円ですが、私の場合、各種会費や住民税、国民健康保険、国民年金などの義務的支出を支払うと手元に残るのは10万円程度です。
これに年に2回の期末手当(計60万円)があります。

これを高いと思うか安いと思うかわかりませんが、この報酬で住民から「あれもこれもやって当たり前で、やらない方がおかしい」と思われていれば、新たになりたいと思う若い人はいなくても当たり前かもしれないというのが率直に思うところです。
ですから、議員の仕事として「何を、どこまで」役割として担ってもらうのかということを決めて共通認識を持たなければ、新しいなり手も増えませんし、定数削減も議論できないと考えています。