2015年12月29日火曜日

浦河町の地方創生総合戦略はいよいよ大詰めへ

12月28日(月)に厚生文教常任委員会があり「総合戦略」について審議しました。

今年の議会活動は終わりですが、議員になって約半年、選挙がもうずいぶん昔のように感じます。
その立候補のときから気にかけていた「地方創生人口ビジョン・総合戦略」がいよいよ大詰めとなり、年明けには決まる見通しです。

❏ 浦河町は2040年10,200人を目標に


ところで、委員会で審議したのは総合戦略なのですが、その話をする前に「人口ビジョン」というものの説明からはじめなければなりません。

これは簡単に言うと、各自治体で最大2060年までの人口推移の見通しと目標を定めるものです。
浦河町の場合、このままだと人口は2040年に8,500人2060年に5,300人と予想されています。
しかし町としてはこれを少しでも食い止め、目標にする人口を2040年に10,200人2060年に8,300人と設定しました。

浦河町の人口推計と目標の表

個人的には荒唐無稽な数字と考えているのですが、今は置いておきますね。

とにかくこうした人口水準を実現するため、まず重点的に実施する5ヶ年計画をつくります。
これを「総合戦略」と呼び、策定を進めているのです。

❏ 総合戦略をもう少しよくしたい


というわけで、今回はこの総合戦略案が示されました。
それまでは9月1日の委員会で「総合戦略はこのような形になるというイメージ」と提示されたきりだったので、今回ははじめて具体的に数値目標や個別施策を盛り込んだものを読むことになったのでした。

不安や期待が混じりつつ、しかし担当職員は優秀な方なので基本的には楽観視していたのですよね。
が、しばらく状況が聞けていませんでした。

それで一読してまず、なんというか、ちょっとビックリしてしまいました。
もう少し何とかならなかったのか?
というか、自分はそのためにはいつどこで何をすればよかったのか?

もともと何もできなかったのですが、そんな反省も込みでちょっとマズいのではと思ってます。(議員になってからいつどこでどう意見すればよいのかよくわからないことが多かったのですが、最近少しわかってきたような気がします。)

委員会でも時すでに遅しというか場違いだったかもしれませんが、あれこれと発言させていただきました。
時間をたくさんかけてしまい他の委員の方々には申し訳なかったです。
でも5年後、10年後の浦河にも影響する総合戦略なので、もう少しよくしたいのです。

もはや具体的にどうこうできることではないのかもしれませんが、それでもせめてできることとして、現状で問題点と考えている点をここでも指摘しておきます。

❏ 指摘した(かった)主な問題点


書いていると整理できてくるのですが、大きくわけて主に3点の問題点があるかと考えています。

(1)軸のない事情の積み重ね戦略


色々と説明を受けて総花的な傾向はやむを得ないと理解していたつもりですが、ちょっと思ったよりも総花的でした。
ないものはないので、ここでは様々な事情の集積である点を指摘するにとどめます。

(2)抽出された課題と解決策のミスマッチ


せっかく大勢の町民のアンケートをとって町政の重要課題を炙りだしたのに、政策への反映が不十分と感じています。
いったい何のためのアンケートだったのか、もう少し詳細に議論したいところでした。

(3)求める効果と設定する目標のミスマッチ


これは委員会でもかなり細かく意見しましたが、目的とする効果と、その効果を生み出すために設定する目標との関連性がよくわからない項目が多かったです。
めざす方向とぶれないために、目標設定というはじめの肝心なところをもっとしっかりしてほしいです。


...と言っても何のことかわからないですよね。

冒頭でもちらっと書きましたが、総合戦略は立候補のときに訴えていた「まちの未来図」のことと深く関係しています。
なので、主に(2)と(3)について、これから何回かにわけて書いていこうと思います。
もちろん問題点だけでなく、いいところもあったのでそのあたりも。

あとは本当はもっと初期の段階で、総合戦略は国を向いてつくるのか、町民を向いてつくるのか、根本的なところを指摘しなければならなかったのだと思います。
つまり、総合戦略とは本当は何なのかという点です。

そこまで深掘りできるかわかりませんが、そのあたりのことも大きく「まちの未来図」というトピックで少しずつ書いていきたいです。


2015年12月26日土曜日

旧野深小学校跡地はサービス付高齢者住宅に?(2)

先日12月25日(金)、今年最後になる総務産業建設常任委員会を傍聴してきました。
議案は3件でしたが、今回は先日の投稿のあと町内外の方々からご意見いただいた旧野深小学校跡地プロポーザルについてあらためてとりあげます。

野深小では2頭のポニーが飼われていました

❏ 委員会では議論を終え本会議へ


今回は町の説明に大きな変更はなかったのですが、当初10年間としていた事業内容の変更や譲渡等の禁止を20年間に延長する契約とする旨の報告がありました。

委員会としては町内にサービス付き高齢者向け住宅は確かに必要であり、雇用も生まれる見込みであることから理解を示す結果(内一名は明確に反対)となりました。
なので、このまま来月の臨時議会で可否を決めることになります。

どう判断すべきなのか迷いもしたのですが、私としては現時点では下記の点から募集のやり直しをすべきと考えています。

❏ 募集要項の問題点。契約不履行の場合は?


前回も述べたように結果としては良い案がでてきて、その内容については特に不満はありません。
でもこのまま決めてしまっていいのかなと単純に思うわけです。
一連の議論の中で、募集要項自体の問題点がわかってきました。

「わざわざ高額の参考価格を書いてなるべく応募してこないようにしたんじゃないか」
「そんなにサービス付き高齢者向け住宅が必要と言うなら最初から目的を限定して募集すればよかったのに」

そのような反発の声とともに、参考価格と購入希望価格のあまりの差にびっくりした町民から「内々に決まってたんじゃないか」と疑われるということは、そもそもすすめ方や募集要項に問題があったということだと思います。
少なくともそう疑わざるを得ない内容だったという事実を指摘しておきます。

金額を重視するなら最低価格も明記すべきですし(今回は実質上0円)、地域課題の解決を重視するなら価格にこだわらず広く目的を明示して良質な運営案を募るべき(にもかかわらずあえて高額の参考価格掲示)です。
このあたりの町の姿勢がかなり曖昧であり、「総合的な判断」をするという「身内の論理」が入り込みやすい余地がありました。

審査委員も公表されませんでした。
これに関連して、他の自治体のプロポーザルではよくある応募者と選考関係者の必要以上の接触を防ぐための「接触の禁止」という項目があるのですが、今回の要項にはありませんでした。

そして私が特に現実的に問題だと考えているのは、契約不履行の際の措置です。
購入金額の100分の30の違約金を支払うこととなっています。
500万円での購入であれば150万円ですね。

契約には20年間(当初の10年間から延長)は提案書の通り事業をすることや第三者へ所有権譲渡の禁止等が盛り込まれますが、それに違反をした場合の違約金が150万円なのです。
要するに150万円さえ払えばこの物件をいかようにもできる状況です。
万が一、経営がうまくいかなかった場合も同様です。

この条件では明らかにリスク管理として不十分であり、町有財産の処分としても、野深地域のエリアマネジメントとしても無責任な契約内容ではないでしょうか。
何か約束と違うことがあっても「違約金を払えとしか町としては言えません」となるわけです。

❏ 行政への不信感という現実


こうしたことは疑い始めればキリがありませんが、これもまた余計な詮索を生むような条件になってしまっています。
購入金額が安ければ安いほど違約金も安くなるわけですから。

町は「問題はなかった」と説明していますが、一般の町民の感覚からみるとどうでしょう。
募集の時は私も気づかなくて不勉強でしたが、あとからみるとあれこれと突っ込みどころがあります。
その募集要項自体が実は新ひだか町とほぼ同じである点も気になります。6件もの廃校跡地の活用が決まっていない町の文面が、参考にすべき対象として適当でしょうか。

予期していなかった問題点であるならば、ここは一度立ち止まって考えなおすべきです。

今回の結果に限らずなのですが、浦河町民の間には行政に対して大きな不信感があるのが現実です。
実際に何らかの不正があったかどうかということではなく、結果としてそう疑われていることが問題であり、このまま決まると町民から購入者や関係者への無用なわだかまりが残ってしまう心配もあります。

以上の点から、きちんと募集要項の要件を見直して問題点を認め、誠実に公募のやり直しをすべきです。

よくある問題ではありますが、焦って結論を出して町への信用を毀損するよりも、ここはひとつ長期的な視点で町民と行政の信頼関係を丁寧につくっていくべきではないでしょうか。

❏ この一件を通じて感じたこと


廃校利用や公募型プロポーザルについて調べたりお話を伺ったりすると、これだけでも全国で本当にたくさんの問題があるようです。

北海道庁が今年まとめた廃校活用促進のための資料(「地域と心をつなごう北海道での新ビジネス」)をみると、少なくとも道内に44件の未利用廃校があり、無償譲渡でも活用が決まっていない物件もあります。
浦河の場合はそれなりに新しい校舎であり耐震工事も必要ない点は一定の評価はされるかもしれませんが、市場価値はどれだけあるのかあらためて考えさせられました。

さらに公募での売却が望ましいのかどうかも本来は地域住民ともう少し時間をかけて議論すべきだったようにも思いました。
過ぎたことかもしれませんが、小学校という地域社会の拠点の跡地をどうするかは将来の地域のあり方に関わる話ですので、「PTAや住民から何も活用案が出てこなかった」と終わるのではなく、もう少し丁寧に進めた方が良さそうです。

また、今回の件を通じて町民の行政への不信感をあらためて感じました。
根本的な解決のためには、情報公開を含むコミュニケーションの仕組みづくりを考える必要がありそうです。
このブログも微力ながら貢献したいと思っています。


2015年12月22日火曜日

定例会終了、これから議員定数の議論はじまる

第8回浦河町議会(定例会)が終わりました。
予定通り12月15日(火)から17日(木)の3日間でした。

今回は主に補正予算とマイナンバー法施行にともなう条例改正、それから追加議案として議員定数調査特別委員会の設置、日高農業改良普及センター東部支所(以下、東部支所)の存続を求める決議提出を決めました。

議会の傍聴はどなたでも可能です

すべてはとても書ききれないので、私なりに気になった点などを中心に報告してみたいと思います。

❏ 補正予算可決


今回は、補正額を3億2千万円増とする総額92億6千万円の平成27年度一般会計予算案が町部局より提出され、全会一致で可決されました。

歳入では、町税が大幅増の補正でした。
町民税は個人で1千万円増、法人税で500万円増、固定資産税で850万円増です。
当初かなり厳しくみていた個人の町民税でしたが、町全体の総所得が前年度と比較して1億5千万円、納税者ひとりあたり平均3万9千円の所得増の報告でした。法人も同様に概ね好調とのことです。
固定資産については土地建物の償却資産の申告が多かったようです。

歳出では、やはりふるさと納税による基金積立金と特産品発送委託料が大幅増になりました。
今年からはじめたふるさとチョイスへの掲載により、本当にたくさんの方々からお申し込みを頂いております。昨年実績は79件270万円だった寄付金が、今年は12月10日現在で13,841件2億2千万円と金額では80倍です。
町財政上の処理としては、頂いた寄付金は全額(システム手数料は除く)を基金積立金として計上、お礼として発送する業務の委託料(寄付金額の6割程度)を別途計上しています。


やはり海産物が人気

浦河町の場合、寄付者は寄付金の使途をおおまかに「子どもたちが元気に健やかに育つための事業」か「その他」かを選べるのですが、前者への指定が多くなっています。
まだ具体的な使い途は決まっていない状況ですので、来年度以降の予算案はこのあたりも注目されます。

また、農業経営安定化対策支援事業支援金として200万円、漁業担い手支援事業補助金として80万円が増額補正されました。
前者はいちごハウス設置が当初計画の6件から9件に増えたこと、後者は新規2名の追加ということで、前向きな動きだと感じました。

❏ 議員定数調査特別委員会の設置


選挙の際、町民のみなさんから声が大変多かった議員定数を議論できる場がようやく設けられました。
これについては、改選後間もなくから議会運営委員会でどうするか議論をすすめると聞いていましたが、無会派議員ははいれないため経緯を見守っていたところです。

今回は会期中に開かれた議会運営委員会で無会派議員も出席を求められました。
内容としては、議員全員(議長は除く)が委員となる特別委員会を設置し、議員定数に関する調査と検討を行いたい旨の説明を受けました。
特に異論はなかったため本案が議会運営委員会より議会に提出(提出者は武中憲士委員長)され、全会一致で可決されました。
本委員会は荻野節子委員長、武中憲士副委員長のもと、すすめられていきます。

私からは定数削減の主張をしていきます。
今まで削減に反対していた議員も今年の無投票選挙を受けて考えをあらためる可能性が高いと言われています。
引き続き報告していきたいと思います。

❏ 日高農業改良普及センター東部支所の存続を求める決議


これは当日に急遽提出された決議案でした。
東部支所の統合について、飯田美和子議員からの一般質問がきっかけでした。
農業については本当に勉強不足でわからないことばかりですが、一般質問のやりとりや調べたことを簡単にまとめてみました。

10月に北海道庁より、現在4名の普及指導員が勤務している浦河町内の東部支所が新ひだか町の本所に統合される旨の説明がありました。

普及指導員は農業者の技術や経営の向上支援を専門とする国家資格を持つ都道府県の職員ですが、勤務先である各地の支所は「多様化する農業者ニーズ等に対応し、地理的条件などを考慮した基本的な地域活動を展開する」ため設置されているとされています。
なお、農業普及事業については農林水産省のページ北海道庁農政部のページもあるのですが、非常にみづらいです。

さて、統合されて新ひだか町に移ってしまうと、普及指導員の域内農家への移動が浦河町で片道最大2時間、さらにえりも町では最大4時間ともはや日帰りが困難な状況となり、日高東部三町に大きな影響が懸念されます。

また、TPP締結や軽種馬産業の苦境という状況や、夏いちごが2014年に生産量日本一を達成、今年5戸の生産だった浦河特別栽培米も来年は10戸とこれからが期待されている中での撤退は、本来の役割の放棄ととれるのではないでしょうか。

町長からは「統合は明確に反対」との立場を表明されましたが、存続は道へ要望したものの可能性は薄い感触だったとの認識でした。
一般質問後、「このままだと年明け1月の道議会で統合がそのまま可決されてしまう可能性が高い」と一部議員の間で話題となりました。

その際に浦河町議会としても立場を明確に表明する必要性があるとの主張が多く、今回の決議案提出(提出者は飯田議員)の運びとなりました。
この決議は、北海道知事、日高振興局長、管内選出道議会議員宛に送られる予定です。


以上です。
どうしても長くなってしまいますし、わからないことが多いと報告も難しいのですが、少しでも議会でどのようなことが議論されているのかお伝えできればと思っています。

新年の浦河町広報には議会だよりも同封される予定です。
そちらには全議員の一般質問のやりとりを含め詳しく掲載されていますので、ぜひご覧ください。


2015年12月16日水曜日

浦河は日本版DMO発足も視野にいれた観光まちづくりへ

本日した一般質問で、浦河町の今後の観光に対する考えが明らかになりました。
なお、あらかじめ町に提出していた発言要旨はこちらを参照下さい。

❏ 従来の観光振興の問題点


浦河町に限らず従来の観光振興といえば、漠然とパンフレットをつくり「イベントやPRをしてわが町に来てもらえればいい」という程度の考えでした。
報告としても「◯◯人が来てくれました」「☓☓でPRしてきました」というものなり、実際にそれが何のために実施され、何をもって成果とするのか、という点はないがしろにされてきました。

これは観光業、運輸業、宿泊業といったごく一部の利害関係者が主体となって「物見遊山的な周遊型の団体客」を想定していた時代の名残であり、なかなか一般の住人にとっては馴染みがなく、関心が薄いものです。
そればかりかむしろ、いわゆる「観光地」として成功すればするほど、普段の一般住民の生活に支障が出て「観光は迷惑」というケースや、一時期の大規模開発の不良債権化が地域の重荷になっているケースもあります。

❏ 浦河町が考えるこれからの観光のあり方


全国的にこうした行政の観光振興のあり方が問題視されています。
また「体験交流など特定の目的をもった滞在型の個人客」が多くなっている現状において、「観光地経営/観光まちづくり」といった視点から見直す動きが加速しています。
よそからいかに来てもらうかだけでなく、「行きたいと思えるような地域をいかにつくっていくか」という視点です。

今回の答弁では、まさに今までの観光のあり方を抜本的にとらえなおして脱却していくという強い意志を示す答えを頂いたものと受け取りました。
簡単にまとめると、観光産業は一部の事業者のものではなく、自然や文化、生活等、住民にとっては当たり前になっていて気づいていない魅力や価値を提供するものととらえなおし、観光を手段としながら地域全体で稼いでいけるまちづくりを目指すものです。

サラブレッドがこれだけ身近な風景は日高だけ

これからの浦河の観光のあり方にとって重要な点として、下記の三点が示されました。

1.マーケティングにもとづく観光戦略
2.まちの総合商社体制の整備
3.人口減少でも稼げるまちを目指す観光振興

今までほとんど調査されてこなかった観光による経済効果の詳しい検証や、市場調査やニーズ調査がこれからは必要であるとの認識です。
これは地域の外の人から「価値」だと感じてもらえるものを守り、つくり、育て、その価値に対して適正な金額を払っていただく仕組みをつくっていく第一歩です。

また、町単独での取り組みが困難な道外や外国人観光客へのアプローチについては、近隣町村との連携を強化していきます。
将来的には地域全体のマーケティングやマネジメントを行う日本版DMOと呼ばれる組織の立ち上げも視野に入れていく考えです。

❏ 具体的にどう変わっていくのか


答弁にもあったように、今は方針を明確にしただけで具体的な動きはまだまだこれからですが、大きな期待を寄せるとともに今後の動きも注目していきます。

また、日本版DMOの注意点として挙げられている点ですが、補助金だよりの単なる第三セクター設立のような形では今までと変わりません。
行政の力に頼らず自分たちできちんと稼いでいこうとする主体がなければ間違いなく失敗に終わってしまうでしょう。

また、カタカナ語や専門用語がたくさんあってわかりづらそうですが、「観光客」とは要するに「よそからのお客さん」です。
そして観光まちづくりとは町民ひとりひとりが「よそからのお客さん」をもてなしたくなるようなまちをつくっていこうという考え方です。

自分ならよそからお客さんが来た時、どこを案内するだろうか?
自信をもってすすめられるほど大事にしているだろうか?
もっと楽しんでもらうためにはどうしたらよいだろうか?

そういった普段の意識の向け方や営みひとつひとつが、自分たちにとっても、よそのひとたちにとっても心地よい「観光地」をつくりあげていくものなのだと思います。
こうした普段の営みを前提として、地域が提供できる価値を専門的に考えていく組織として日本版DMOが位置づけられています。

ひとりひとりの日常生活の積み重ねと専門組織の両立を通じて「人口減少でも稼げるまち」を実現できるのではないかと考えています。

2015年12月10日木曜日

旧野深小学校跡地はサービス付高齢者住宅に?

旧野深小学校の利活用について、先日日高報知でも掲載されていましたね。
遅くなりましたがこちらでも補足がてらご紹介します。

今年3月に閉校した旧野深小学校跡地の利活用については、公募型プロポーザルで募集をしていました
応募期間は9月14日(月)から10月30日(金)までであり、その際に参考価格として約6,400万円(土地建物一式、税込)が示されていました。

閉校前の野深小学校

募集の結果、一件の応募があった旨が12月3日(木)の総務産業建設常任委員会で町から報告があった次第です。
なお私は当委員会の所属ではないため、発言権のない傍聴でした。
提案内容は報道の通りですが、簡単にまとめます。

❏ 提案者の提案内容と町の見解


平成28年よりサービス付高齢者住宅(以下、サ高住)として活用。
平成32年には社会福祉法人格を取得の上で特別養護老人ホーム(以下、特養)に移行予定。
まずは定員45室50名、月額10万円程度のサ高住を計画しており、事業開始時は看護師、社会福祉士、介護支援専門員、介護職員等12名を雇用し、順次増員する見込み。
購入希望価格は500万円。

以上ですが、町部局としては基本的にはこの提案者への売却を希望しています。
理由としては主に、現時点で特養への入居待機者が町内で50名程度やむなく町外の特養に入っている方が30名程度と町は把握しており、町内に必要な施設と認識しているからです。

❏ この提案をどう考えるか


委員からは特養不足が解決されるこの活用方法への理解も示されましたが、参考価格である6,400万円と購入希望価格500万円とのあまりのひらきに異論もありました。
町はその点について同意しつつも「あくまで参考価格であり、選考の際は購入希望価格もひとつの審査対象として総合的に判断されるとお伝えしてきた」との説明でした。
また、提案者が改修や設備投資に1億円程度を見積もっていることから、土地建物の取得費にそれほど予算がかけられない事情も勘案したいとのことです。

さて、この参考価格の10分の1以下での売却をどう考えるか難しいところです。

確かに町の説明の通り、今回の事業提案は浦河町がかかえる特養の不足という課題が解決される良案です。
また該当地域の住民の意向としては、利活用方法への要望は特になく、空き家にしないでなるべく早期に活用してほしいとの意見です。もし仮にこの提案を否決すればプロポーザルのやり直し等の措置がとられ、空き家状態がまたしばらく続いてしまいます。

しかし一方、参考価格からあまりにかけ離れた金額であり、この金額で購入できるのであればと優れた企画提案が他にも応募されていた可能性もあります。
実際に応募があったのは一件だけでしたが、結果的に参考価格がまったく選考の「参考」になっておらず、町有財産の処分方法としてはフェアではないと感じてしまいます。
では、いくらであれば妥当だと言えるのか。

町民のみなさんはどう思いますか?

この売却案については引き続き総務産業建設常任委員会で内容が審議され、最終的には1月の議会に議案として提出される予定です。
本件もほんの一例ですが、議会では議員一人ひとりに議案が賛成か反対のどちらかの態度が求められます。


2015年12月8日火曜日

12月議会の一般質問は「観光振興について」

来週はいよいよ議会(定例会)です。
昨日の12月7日(月)正午が締切だった一般質問の発言通告書を提出してきました。

受理番号は4番でした

武藤からの質問は一件で、発言要旨は下記のとおりです。

❏ 武藤からの一般質問の発言要旨


観光振興について


近年、国や道が観光を重要な成長分野として産業政策の柱にかかげている。また今年アポイ岳が世界ジオパークに認定され、日高東部地域への観光の可能性が高まっている。当町も近隣町村と連携して観光に積極的に取り組むチャンスである。
また、町内の高校生の多くが活性化のアイディアとして観光振興と答えている。人口流出が再三指摘されている若い世代だが、望むような雇用をつくることができれば就職のミスマッチを防ぎ定住を促進する可能性もある。

こうした観点からより積極的に観光まちづくりをすすめていくべきと考えるが、当町の観光振興は何を目的としていて、将来どのような観光のあり方を目指しているのか不透明な部分がある。

(1)これからどのような観光のあり方を目指しているのか。その将来像は。

(2)観光振興は一般的に産業・雇用創出を目的とした政策であることから経済効果が重要だと考えられる。観光による経済効果を今までどう把握してきたか。

(3)より一層の経済効果を生むためには、様々な観光客それぞれにとっての浦河の価値を正確に把握し、その価値に妥当な価格をつけ、戦略的に売る必要がある。観光客の顧客情報とニーズを把握しているのか。



以上です。

今回は前回(6月)の反省を踏まえて、質問件数は一件だけにしました。

❏ 浦河町議会の一般質問


どういうことかと言いますと、浦河町議会では「一問一答」方式ですが、件数がいくつあってもまず議員がすべての質問をし、そのすべてに対して町部局から答弁があります。
これを終えてから一件一件の再質問にはいっていきます。

答弁は聞きながらメモをとりますが、とりそこなった場合は前半の質問に対する答弁の記憶が曖昧になってしまいます。
またひとりあたり90分間の時間が割り振られていますが、ふだんよりずっとゆっくり話すこともあって、時間の使い方に慣れるまでは難しそうです。
そうしたこともあって(あるいは単に三件分の調べごとが大変過ぎたこともあるのですが)、今回は一件についてじっくりできればと考えています。

さて、どうすすめるかも難しいのですが、質問すること自体も難しいです。
9月の議会の時は、正直何をどう質問していいかわからなくなってしまい、質問できずに終わってしまいました。これは一度やってみないとわからない難しさだと思いました。

❏ 質問するということ


この質問すること自体の難しさをうまく説明できるかはあまり自信がないのですが、こういうことかもしれません。

これは、あくまで私自身の考え方ですが、「この町がこうなったらいいのにな」ということと「行政がこれをやるべき」ということとはまったく別の話だと思っています。

町の方と話をしていると「町はもっとこれをやらないとダメだ」という話をたくさん聞きます。これは基本的にはきっと「この町がこうなったらいいのにな」という想いのあらわれだと思います。

しかし、それを直接「行政がそれをやるべき」かどうかは立ち止まって考えなければなりません。あるいは、そのどこまでを行政が担うべきなのかもまた同時に考えなければなりません。

その提案する内容は、場合によっては住民や自治体、企業や産業団体、有志等がまず主体的にやらなければならないことかもしれません。
行政が力を貸すことによって、短期的には助かったり良くなったりしても、長期的にみれば「行政が力を貸さなければ何もできない状態」を生み出してしまう可能性があるからです。

考え過ぎ(と、よく言われますが)なのかもしれませんが、議会(一般質問)のような場で町に具体的に何かを提案するということは、それなりにその発言の責任を負うことだと思いますので、自ずと慎重になります。
そして、発言通告書を提出後の今でもああでもない、こうでもないと調べなおしたりしており、直前まで再質問に向けて準備をしています。

2015年12月4日金曜日

マイナンバーの通知カード配達状況と制度導入で変わること

国内、道内でのマイナンバーの配達状況等について報道されていますね。

北海道内1万2000通未配達 マイナンバー、荒天影響し遅れ


我が家には無事届いていました

道内では20万通以上が自治体に返送されているとのことですが、浦河での状況はどうなっているでしょうか。

❏ 浦河町内でのマイナンバー通知カード配達状況


12月2日(水)に行われた厚生文教常任委員会における質疑の中で、浦河町内でのマイナンバー通知カードの配達状況が明らかになりました。
全部で870件が未達で、内訳は居所不明が157件、役場保管が707件、受取拒否が6件です。

郵便局からの一週間の再配達期間を過ぎると、役場で保管される仕組みになっています。諸事情で受け取れなかった方は役場にお問い合わせ下さい。

また、受取拒否については一部ウェブ等で呼びかける声もありました。
判断は個人の自由ではありますが、しかしマイナンバー自体はすでに全国民に割り振られています。
その通知の受取を拒否することに特に罰則もありませんが、自分のマイナンバーを知らなければ今後生活の上で不便を感じることが出てくるかもしれません。

❏ 浦河町介護保険条例の一部改正


当日の委員会では町の介護保険条例の一部改正について町部局より説明がありました。

ちなみに今回に限らないことなのですが、国の法律が変わると市町村でも条例の文面を少しずつ修正しなければなりません。今回のマイナンバー法もそうです。そして町部局から条例の改正案ができあがると、今回のようにたびたび委員会が開かれます。
こういう場合、法律変更にともなって作られる国のガイドラインに沿って改正するだけなので、一委員として何か問題を指摘するようなことはあまりありません。気になることがあれば質疑を行います。

さて、具体的な変更点としては、保険料の執行猶予や減免の申請の際、従来必要だった添付書類の代わりにマイナンバーの記入で済むようになるそうです。
報道によると様々なトラブルが実際に生じており不安に感じる方も多いかと思いますが、少しだけ便利になることもありそうですね。

マイナンバーについての詳しい情報は政府広報こちらのページがわかりやすそうです。
浦河町のマイナンバーに関するページはこちらです。