2016年10月8日土曜日

日高線沿線協議会、浦河町の質問にはゼロ回答。二択提示は不適切

9月13日(火)から15日(木)までに第五回浦河町議会(定例会)がありました。
9月議会は水道事業決算が主な議題なのですが、その中で、池田町長からJR日高線沿線自治体協議会の現状について報告がありましたので、遅くなりましたがお伝えします。

JR北海道から自治体への二択提示


まずは、9月8日に開かれた同協議会の内容です。
報道にもある通り、JR北海道としてこれ以上の経費圧縮は不可能であり、また老朽化対策として相当の金額が将来発生する説明の上、自治体へは二択の解決策を示してきました。
いずれかを了承しならば廃止というメッセージと受け取ってよろしいかと思います。

浦河駅構内。左手は浦高生美術部作の絵画

ひとつは上下分離方式です。
これは非常に多様なあり方があるのですが、今回の提案では、列車運行の部分(上)だけJR北が担当し、車両・施設・土地の保有・維持管理(下)は自治体というものでした。
なお、実は海外の鉄道は上下分離方式が一般的なのですが、その「下」は自治体ではなく国や州レベルというのが通例です。

もうひとつは費用支援です。
こちらは運行にかかる赤字相当額13.4億円を沿線自治体が分担して費用支援するというものです。道はまったく負担しないと明確にしています。

池田町長は、いずれの内容も浦河町の財政状況からみて不可能との認識です。
私としても、この二択であればそう思うしかありません。
が、そもそも、その二択の提示自体も内容もおかしいだろうというのが私の考えです。

池田浦河町長からの質問にはゼロ回答


池田浦河町長もその点は同じ考えのようで、同協議会の席上でいくつか質問をされています。

  1. 日高線をモデルとし、なし崩しで廃線を進めていいのか。北海道全体の公共交通のあり方も含めて議論すべきではないのか。
  2. 北海道では新幹線含む全線が赤字だが、すべての路線で自治体負担を求める考えなのか。
  3. 輸送密度・利用状況が同程度の路線も大雨・台風で被災して運行休止しているが、同じ考えで話を進めるのか。
  4. すでにこれは存廃にかかわる話だが、日高側7町だけでなく、苫小牧側を含めた10市町で考えるべき問題ではないのか。
  5. もし仮に廃止になった場合、今まで建設海岸(道管轄)と鉄道海岸(JR北管轄)で押し付けあっていた部分も、きちんと建設海岸として道が優先的に整備するのか。

これらに対して、まったくのゼロ回答とのことです。
「今は日高線の話をしているのだから、道全体のことはここで答える必要も準備もない」と受け取ることができます。
すでに同協議会は実質、存廃議論になっているにもかかわらず、そこをうやむやにしたまま苫小牧側もいれずに話を進めるのはいかがなものでしょうか。

また、道庁の方にもお話を伺いましたが、正直申し上げて、残念ながら道全体の交通体系はどうあるべきかという考えやそういう発想すらそもそもないように感じています。
当然各自治体間でも相互に議論を深めていかなければならず、今まで不十分だった部分だと思いますが、思い切った広域連携や交通網全体としての考えは戦略的に道が打ち出す必要があると考えています。

今年は記録的な大雨と台風により、北海道各地で大きな痛手を追いました。
一次産業だけではなく、物流も寸断され、その全国的な影響力の大きさを実感したのではないでしょうか。JR北海道も例外ではありません。
ここは北海道が一丸となって今後の交通網について考えなければならないのだろうと思います。

ところでつい先日、浦河と日高中部のJC(青年会議所)が共同で今月実施するJR日高線の勉強会のご案内をいただきましたので伺ってきます。
また、6千戸強の浦河町内で3千戸ほど配布されているフリーペーパー(?)「マルセイニュース」の今月号にも日高線のことがたくさん、大きく取り上げられています。
このように地域で関心をお持ちいただき大変ありがたいところです。