2018年3月17日土曜日

新年度予算に賛成討論。差別化と一点集中の戦略できちんと意思決定を

平成30年度予算が全会一致で可決されました。
予算というのは、もし否決されると新年度からすべての行政業務が滞ってしまうので、大抵は全員が賛成します。
が、強く訴えたいことがありましたので、賛成討論に立ちました。
以下、討論で発言した内容の骨子に大幅に加筆修正しましたので、ご覧ください。

新年度予算資料一式となると結構なボリュームです

ディフェンス重視で攻め手と決定力にかける予算編成


今回に限らずですが、浦河の予算で評価できる点としては、経常的経費の維持・充実に務め、堅実・着実に執行しているところです。
財政の観点からは、いずれ必要になるであろう大きな出費への準備が整っていないようにも感じますが、それほど大きな不安はないのではないかというのが今のところの認識です。
カンペキではないにしろ、子育て環境や高齢者福祉の充実、計画に沿ったインフラ整備、各種備品や修繕など骨格的な部分は一層の充実に努めています。
いわばまちづくりの守り=ディフェンスの部分は評価して良いと考えています。
ただ一方、政策予算とも言える攻め=オフェンスの部分は感心しません

昨年9月に立起表明した池田町長はその際に「交通」と「人づくり」に取り組むと仰っていました。
私もかねてより「人づくり」は大切だと考えており、今年の執行方針に期待していたところでした。
しかし町長からは「浦河の宝である「人」と「自然」を大事にしたい」という抽象的な想いが語られただけでした。
ちなみに「人づくり」については一般質問でも取り上げましたので、詳しくは別途。

「交通」と「人づくり」に取り組むならば、例えば「車がなくても暮らせるまちを目指す」とか「こんな人材を育てたり、採用していきたい」という方針や予算が組まれるべきです。
しかし残念ながらそういったことはまったくといっていいほど盛り込まれませんでした。

手探り迷走予算から脱皮し、差別化と一点集中を


浦河町は大小様々な新規事業を「手探り」で進めています。
しかしいずれの事業についても、いつまでたっても明確なビジョンが示されないばかりか、今更ながら調査をはじめたり、事業の方向性を見直すなど迷走感が否めません。
いずれの事業にせよ、トップが腹をくくって「意思決定」をすればすむことを、余計な時間と予算をかけて慎重に外堀を埋めて進めているようにも見えます。

今、浦河町行政に求められているのは、もっとも重要な政策に思い切って予算と人と時間を集中的に投下し、その重要性をしっかりと説明しながら、反対にあってでもスピード感をもって進めていく、そうした覚悟をもった「意思決定」ではないでしょうか。
3期目を迎える池田町政であればなおさらではないでしょうか。
つまり、あらゆる情報が集積する行政でしかできない意思決定というものがあるはずなのです。
そして意思決定とはときに、何をするかを決めることではなく、何をしないかを決めることです。

私たちの住む浦河町の人口はこの50年間減り続け、実質的な労働人口で言えばもはや100年前の水準だといえるでしょう。
さらに毎年約200人ずつ、想定よりも早いスピードで人口減少が進んでいます。
まずは「浦河はうまくいっていない」という現状を認め、「なぜうまくいかないのか」を総括してから進まなければなりません。

浦河のような小さなまちが生き残り、発展していくためには、これまでの考え方は通用しないのではないでしょうか。
ばらばらと戦力の逐次投入をしてはならない。
第二次世界大戦で日本軍が敗北した主たる理由は、全方位に伸び切った戦線への戦力の逐次投入です。
浦河が同じ轍を踏むことはありません。

何か新しい分野に挑戦する際や、資金や人といった資源が限られる組織において必要な戦略は「差別化」と「一点集中」です。
私たちは、しっかりしたビジョンを持ち、覚悟を持ってその実現のための意思決定をし、弱者の戦略で泥臭く取り組むべきです。
副町長人事案の内容はまだ承知していませんが、新体制に釘を刺す意味でもこのようなことを強く訴え、賛成討論としました。
来年以降はしっかりと取り組んでいただきたいと願います。

未来図をつくる会にかける想い


予算全体に対する考えを述べる討論は、相当なプレッシャーがあります。
正直身体に残っている全エネルギーを費やしてしまいます。
こういう風にあらためて書き起こしてみると(伝え方も悪いので)どうしても批判と受け止められてしまうかと思います。
しかしそれでもなお伝えたいことがあると、本当に浦河に必要なことはこういうことではないかと、大きな提案と受け取っていただければ幸いです。

なお私自身は「未来図をつくる会」を主催する中で、その「もっとも重要な政策」をしっかりと見極めたいという想いもあります。
議会活動で得られる様々な知見を活かしながら、住民みなさんの想いをしっかりと紡いでいけるまちの「未来図」をつくるべく、鋭意取り組んでおります。
皆さまのご協力とご理解を賜りたいと思います。