2016年3月25日金曜日

予算議会終了、老朽化対策や道の駅整備など行政課題は山積み

第2回浦河町議会(定例会)が3月22日(火)をもって終了しました。
15日間の会期(内、休会が9日間)で、追加議案を含む合計38議案を審議し、全会一致で議決されました。

予算議会は想定以上の資料の数でした

3月の予算議会は相当な量の議案があり、大変さをあらためて実感しました。
報告も難しいところですが、予算概要は以前の記事で、全体の概要は次回の「議会だより」でご覧になれると思いますので、今回は他の議員の一般質問からいくつかトピックを取り上げてみたいと思います。

❏ 学力向上の鍵はタブレットか


全国でも下位にある浦河の学力向上の議論がされてきました。

今回、その目玉になりそうな全小中学生へのタブレット導入。
一般質問では木下議員と斉藤議員もとりあげ、予算質疑でも意見が出ていましたが、結果的には導入が決まりました。
まずは好成績の子ども向けというよりも、なかなか通常の授業に追いつけていない子どもたちに、学ぶ楽しさを知ってもらうきっかけづくりとしての意味合いとのことです。

9月からの導入に向けて、現場の先生方とも推進委員会を設けて活用方法について議論されていきます。
導入方法に再考の余地があるのではないかという意見に対しても、さほど再検討するつもりがなさそうなので心配しています。
リース料は5年間で7,500万円の予算ですので、真剣に取り組んでいただきたいです。

なお、文科省が実施した小中学校でのタブレット導入に関する報告書はこちらですので興味ある方はご覧ください。

- 学校教育 - ICTを活用した教育の推進に資する実証事業 


さて、ここであらためて考えてみたいのですが、学力向上のため教育行政ができることは何なのでしょうか。
実はなかなか難しい問題です。

私がむしろ可能性を感じるているのは、昨年実施した成績が全国上位である秋田県との交流連携によるところです。
今年も講師を招聘した勉強会や現地への教員の視察研修が盛り込まれています。

昨年の視察にも同行した岡内教育長の説明によれば、秋田では何か特別なことをしているわけではないそうです。
例として学習時間ごとのゴールを明確にする取り組みを取り上げていましたが、結局は日々の地道な改善の積み重ねではないでしょうか。
他所の地域での考え方のよいところを学び、活かしていく機会になるのではないかと期待しています。

また昨年浦河町と友好都市提携した熊本県天草市は、全国平均学力よりも高く、特に河浦地区は一層高い結果だと伺っています。
今年5月末には議会として天草市を訪問する予定ですので、意見交換ができればと思います。

❏ 「道の駅」まで5年の道のり?


浦河町の「道の駅」整備計画については、池田町長の公約だったこともあり、以前から議会で指摘されてきたそうです。
今回の神原議員と櫛桁議員の一般質問に対する答弁で、少しだけ前向きなトーンを感じました。
新年度は計画の叩き台をつくっていくそうです。
総合戦略」にも整備検討が明記されていましたね。

とはいえ、基本計画策定から運営開始まで5年程度を想定しているようですし、現時点では道の駅か物産館か(あるいは海の駅か)、新築か既存施設の改築か、構想はまったくの白紙です。
実現を待っている間にも、浦河のお土産を買いたい町内外の方々はいらっしゃり、町全体の機会損失(稼ぎ損なった利益)は日々増えていきます。

観光協会が機能強化と法人化を目指す中、そしてそれを町としても支援する中、非常にもったいないと感じています。
私自身もお土産を買っていけないこともありますし、お客さんも何も買えずにお帰りになったこともあります。
一方、浦河町が取り組んでいる「ご当地特産品開発支援事業」は2015年には5件ほど採択があり、お土産のラインナップはこれから期待できるところです。

この課題については5年も待っていられないので、発想を変えた取り組みが必要なのではないかと考えています。行政主導ではない形も考えられると思います。

❏ 公共施設の老朽化対策は


高度経済成長期に国中に一斉に整備された道路や上下水道、学校や公営住宅などのいわゆる社会インフラですが、その老朽化が大きな問題になっています。
また建設時は国の補助があった公共施設も、維持管理費は基本的にすべて自治体の負担になっており、人口も税収も減少する状況では今までのインフラをそのまま維持することが困難です。

国もこの問題を認識しており、全国の自治体に「公共施設等総合管理計画」の策定を指示しています。
これは今後30年ほどのスパンで、自分たちの地域の公共施設をどうしていくかを計画するものです。

浦河も例外ではなく、新年度までの2カ年で計画策定を進めているところです。
町全体で435棟もの公共施設、その半数が30年以上を経過しています。
まずは2015年度に委託して実施した調査の結果が出ており、近いうちに委員会でも報告されると聞いています。

荻野議員の一般質問では、公共施設全般、特に災害時の防災拠点にもなるファミリースポーツセンター(ファミスポ)を取り上げていました。
災害対策の視点で佐藤議員も触れていました。

築50年ほどの今のファミスポは限界にきており、今の破損箇所の修繕だけでも数千万円が見込まれます。今年の体育施設工事費全体で1,000万円の予算ですので、なかなか叶いません。
近い将来に建替・改修・新築のいずれかが必要ですが、いずれにしてもざっと15~30億円ほどかかる計算です。
国の補助金を活用しなければもちろん実現不可能なのですが、町の負担も当然必要になってきます。

ファミスポは今年で大きな方向性を決めていくとのことですが、浦河町の公共施設に関する基金の積立は5億円程度であり、他の施設も今後は優先順位をつけて考えなければなりません。まずは詳しい調査結果を待ちます。
なお、社会インフラの問題は下記のサイトがわかりやすいかと思います。

- 社会インフラの老朽化問題について知る!:nikkei4946


❏ 財政の仕組み


今回の議会で一番勉強になったのは、自治体の財政の仕組みについてでした。

議員になってから約一年、定例会が一回りして決算から予算まで一通り経験しましたが、行政は基本的に一年前に決めたことを補正しながら執行し、決算にいたります。
誤解を恐れずに言えば、この一年間の多くは私が議員になる前から決まっていたことについて議論してきたわけです。
これからの一年間は、この予算議会で決まったことを軸に議論し、来年以降に反映されていくことになります。
議会活動はこうした時間軸で物事を考える必要があるのだとあらためて感じています。

さて、この予算議会前に配布された予算資料、かなり読み込みました。
昨年の予算資料とも見比べながら、一般会計からの特別会計への繰り入れ、積立基金や公債の考え方を知ることができました。また、各事業ごとの財源もある程度までは把握することができました。
もちろんまだまだわからないことはたくさんありますが、財政を通じて浦河町行政の仕事の全体像が少しずつ見えてきました。

予算説明資料は付箋だらけになってしまいました

今までの一般質問は、基本的に財源を必要としない取り組みや考え方について質問させていただいたつもりです。
しかし、今後町の支出をともなう施策を提案していくことがあれば、やはり財源のこともあわせて考えなければなりません。
その下地を一年間で学ばせていただきました。

今後は町民のみなさんにも少しは説明できると思います。
このブログでももちろんですが、どこかで議会報告と意見交換を兼ねた場を設けていきたいと考えています。
なかなか思ったようには取り組めていませんが、今後も引き続き応援いただければ幸いです。