2016年3月9日水曜日

MiOに「まちなか元気ステーション」整備?介護予防、認知症対策、子育て支援を一体化。

本日3月9日(水)厚生文教常任委員会にて「まちなか元気ステーション整備計画」の説明がありました。

❏ 3つの課題の総合解決案としての提案


様々な計画に位置づけられる長い説明だったのですが、要点としてこの事業は主に介護予防、認知症対策、子育て支援の浦河の3つの課題解決を図るための拠点づくりと理解しました。

1.介護予防

現時点で浦河には、700人以上の要介護認定者がいらっしゃり、さらに増加傾向にありますが、高齢者の方々が元気に暮らしていただくために軽運動をしていただいたり、健康の意識づけを行っていく必要があります。
この考え方を介護予防といいますが、あちこちに施設や窓口を用意するのではなく、ワンストップでサービスと情報を提供できる場が必要でした。

2.認知症対策

本人のみならず家族の負担も大きい認知症ですが、今までも認知症サポーターや見守りネットワーク構築を行ってきました。
今後は関係者が悩みを共有したり、情報交換できる場としての「認知症カフェ」づくりや支援体制の強化といった認知症対策が望まれます。

3.子育て支援

地域一体となって子育てしやすい環境づくりに取り組んでいく考えから、町は異世代交流の場づくりを推進しています。
子育て世代から要望も多かった子どもの遊び場の充実ですが、屋内で安心して遊ばせられるキッズスペース拡充の声もありました。


こうした複数の課題の総合的解決の提案として、ショッピングセンターMiOのスペースを借りて「まちなか元気ステーション」を整備する計画です。
現在は役場の一階にある「地域包括支援センター」も移転して、一元化したサービス提供を可能にする考えです。
改修計画図(案)がこちらです。

浦河ショッピングセンターMIO改修計画(クリックで拡大)

❏ 懸念点は「本当に利用してもらえるか?」


私からはまず「子育て支援」の部分について、子育て環境の整備はぜひ進めるべきとの考えから高く評価しました。

また「介護予防」や「認知症対策」については、将来的な財政負担を考えると理解できます。
現時点でも国民健康保険や介護保険にかかる現役世代の負担は昔に比べたら天地の差ですよね。行政負担に占める割合も増加しています。

でも、コスト削減はあくまで執行側の事情です。
つまり、その介護予防や認知症対策といった機能は、必ずしも今、すべての町民が必要としているものではありません。

行政が必要とする施設や機能を、本当に住民に利用してもらえるのか?

事業を進めるにあたってもっとも重要なこの視点が欠落しがちです。
まずはきてもらうための仕組みをつくらなければ、どんな機能も提供できません。

異世代交流にしてもどのくらいの町民が望んでいるのか不明ですし、「誰でも来れる場には誰も来ない」という行政によくありがちな間違いを犯すのではないか。その懸念を町民としての目線から指摘しました。
小さなお子さんも高校生も保護者も高齢者も誰もが快適に過ごせる空間というのがうまくイメージできません。

これについて、「運動したい」「健康に関心がある」という高齢者はそれなりにいらっしゃり、現にイベント等では健康測定器具は人気があるそうです。これは知りませんでした。
また今まで視察した各地の施設のよいところをしっかり取り入れて、担当の方針としては「ここにしかない価値をつくる」という考えで、いくつかのアイディアも示されました。

また、今後も具体的な指摘、提案や意見はひとつずつ斟酌して検討し、改良改善しながら進めるとのことです。
みなさんはどのような施設であれば利用したいと思えるでしょうか。

❏ 具体的なハード面での問題点


意見があれば検討したいとのことでしたので、早速私からもハード面での指摘をいくつかしました。

  1. 受付からの「視認性の確保」とあるが、むしろ軽運動や測定をしている様子が全職員や買い物客からみえてしまう状況で使いたいと思う利用者が果たしているのか。
  2. 高齢者が必要としているのは、運動スペースよりもより多くの机と椅子のセットではないのか。買い物の合間の休憩や子どもを遊ばせるお母さんたちの憩いの場という観点からも喜ばれるのではないか。
  3. 上記に関連したスペースの使い方として、「リアル野球盤」という一部の方のための専用スペースを設けるのか。
  4. 保護者からは子どもたちが勝手にキッズスペースから走って外に出てしまわないように柵のようなものがあればありがたいという意見がある。設置することはできないのか。
私からはあくまで意見として述べただけでしたが、他の委員からも様々な指摘がありました。

大筋の説明としては、計画はあくまで計画であり、当然今後の修正は可能とのことです。また、整備計画自体が議決されれば、専門家の助言もいただきながら、内容は議論していくとのこでした。

視認性の確保については、職員の働きづらさにもつながるのではないかと指摘がありました。
騒がしかったり、緊張感を緩めることが許されない環境ですからね。

町長からは「集中力がそれても仕事をするのが行政職員だが、塩梅も大事」との認識も示されましたが、担当職員は「もともとオープンな場での職場も経験しており、大きな問題はない」との回答でした。

利用者がみられてしまう環境については「例えば透明な壁をつくるなど措置がとれるかもしれない」との回答でしたが、他の委員からも指摘があったのでこの点はさらに一考の余地があるはずです。

「リアル野球盤」に関しては、これは例えばリアル野球盤「も」できるスペースだという説明でした。ただのスペースであれば、平常時は机や椅子も配置できそうですね。
キッズスペースの柵設置に関しても、前向きな回答でした。

❏ 目的と立地をめぐって議論は持ち越し


ところがそもそもの計画自体の賛否をめぐる問答もありました。

神原委員からは施設のテナント料金について質問がありましたが「相手のあるこれからの交渉であることから回答は差し控えたい」との回答で、予算の面からも場所がMiOでいいのかという視点がありました。

また、もし議決された場合のスケジュールについて小原委員より質問があり、「財源である厚労省の交付金募集のタイミングにもよるが、例年通りであれば2017(平成29)年2月より事前協議を重ね、早ければ交付と着工は同年の予定」とのことでした。

こうした点から本案件は次回へ持ち越しとなり、元気ステーション整備の目的と立地についてあらためて議論の場が設けられます。

議論が一区切りの時に、町長が本事業への想いを語る場面がありました。

町長に立候補した際に、健康日本一の町をつくりたいと公約にいれました。今回ようやくその一助になる施設が実現できると、個人的には大変感慨深いところもあります。
財政事情の厳しい中で、あるものをいかに活用していくかという視点でまちづくりをすすめていきたいと考えていますので、ご理解を賜りたい。

「あるものを活用する」という考え方は将来世代への負担も減り、大変素晴らしいと思います。

一方、どんなに執行側の事情や想いがあったとしても、町民が利用したいと思う事業ができなければ絵に描いた餅です。
本件に限らない話ですが、前半に指摘したような視点をしっかりと踏まえて事業計画をたてていただきたいと願っています。