新聞報道でもご覧になったかもしれませんが、浦河町議会は次の選挙から定数を2減らし、16議席になりました。
議員定数の議論は、ここでも何度かとりあげてきました。
本当に難しい問題だと感じます。
すでに前々回の委員会で減らす決定はしましたから、減らす数についての議論でした。
2減らして16議席とすべき、4減らして14議席とすべきとふたつの意見があり、今回はその採決でした。
私は最後の最後まで悩みましたが、最終的には2減の立場で意見しました。
4減とする声は真摯に受け止める
まず、町民のみなさんから4減らすべきと多くの声があることは承知しています。
様々な理由があるとは思いますが、端的に今の議会への不満や批判と理解しています。
そしてそれは真摯に受け止めるべきと考えています。
では、どのように応えていけるのでしょうか。
その不満は、議員の数を減らすだけで解決するでしょうか。
「偉そうに!ちゃんと声を聞いていないじゃないか!」
「今の議会は力量不足だ!」
あるいは「あの議員はダメだ!」と、具体的で辛辣な声も聞かれます。
仰る通りかもしれません。
むしろそういう方、そこのあなたにこそ、お願いがあります。
ぜひ想いや意見を同じくする仲間を集め、立候補して、議員になっていただきたいのです。
あるいは、この人こそはという方を議会に送り込んでいただきたいのです。
減らして清々しても本当の解決にはならない
2減とする立場の議員は「新人が少しでも立候補しやすい環境は残すべきだ」と考えています。
これは私だけではありません。
定数を減らせば、議員になるためにそれだけ得票数が必要になります。
それだけで「立候補なんてムリ」と諦めてしまうかもしれません。
その結果現職が、「他に立候補しないなら出たい」もしくは「後継がいないから出ざるを得ない」という状況が続いてしまいます。
悪循環です。
特定の支持基盤を持たない候補者は、なかなか議員になるのが難しいものです。
しかし今の浦河の議会にも、自らの想いで立候補して議員をしている方もいます。
他でもない私も浦河に来て3年しか経っていませんし、浦河町議会史上2番目の若さだそうです。きっと誰でも議員をやれるはずです。
このような「馬の骨(?)」みたいな私でも当選したのは、無投票になってしまうほど慢性的な議会の人材不足があります。
私や他の議員では不十分だったり、不満足だったりするかもしれません。
力不足で申し訳ありませんが、そう思っていただいても構いません。
しかし気に入らない議員を減らしても、気分は清々するかもしれませんが、こうした状況の解決にはなりません。
定数を減らしても、あなたが気に入らない議員が落選するとは限りません。
むしろ地味に目立たない仕事・貢献をしている議員が落ちるかもしれません。
より良い人が議員になれる環境を残す
ですから、その代わりにみなさんがより良いと思う方に議員になってもらうしかありません。
遠回りですが、それがシンプルに地方自治というものです。
「そんなの現実的にムリでしょ」といくら言われても、それしか解決策がないのが現実です。
「あなたは、どんな議会だったら、もしくはどんな待遇だったら立候補できるでしょうか?」
お聞きするのですが、結局
「議員はできない」「したくない」
ということに尽きるように感じます。
それが、今の議員が今でも議員をしている理由ですし、次世代を担う新人が不在では、いくら定数を減らしても何も変わりません。
自分ならもっとできる!
自分ならこうする!
そういう方にこそ、ぜひ立候補をお願いしたい。
これは私は本気で思っています。
そしてそれがより可能と思われる環境は、議会として残すことになりました。
広く町民の声を聴く場づくりを
ただそれだけで充分とは考えていません。
合わせて、当初から主張している「町民の声を広く聴く仕組みづくりを」とあらためて意見しました。
「自分の後援会や支持者の声を聞いていればいいんだ」と考えている議員もいます。
それはそれで否定しませんが、私自身はそうは思いません。
何かを判断するにあたって、それぞれの支持団体レベルだけでなく、町全体にとってはどうなのか、という視点を持つことも大事だと思うからです。
様々な考え方の町民が集まれば、意見集約も難しいのは事実です。
収拾がつかなくなるかもしません。
けれども、私はそれでもいいと思っています。
まずは小さな声でも、とにかくお聴きする姿勢を示し、議会への信頼を得る努力が必要です。
町民のみなさんにも、自分とは違う意見にすべては納得いかなくても、「そういう意見もあるのか」と理解していただく。
議会も、厳しいご意見と真正面から向き合うことがレベルアップにつながるはずです。
そのためには会派や個人で行っている意見交換会だけでは不十分です。
「減らさない。何も変えない。というのでは理解が得られない。
議会としての信頼を取り戻すような前向きな取り組みが必要だ」
と、申し上げてきました。議会として取り組むことが大事です。
ささやかながら前進も
今回の委員会では幸い「町民の声を聴こう」と同じ意見が複数でました。
これにより、荻野委員長からは採決の後、「今後、議長とも相談して何らかの場を設けるよう検討する」との発言がありました。
本当に小さな一歩ですが、まずは前進したのではないかと考えています。
また前の記事でもご報告しましたが、来年からは議会の会議録をウェブ公開し、図書館でも閲覧が可能になります。
これからは議会の様子が以前よりわかるようになりますので、まずは知るところからはじめていただければ幸いです。
一年近く議論してきた議員定数の委員会はこれで終了です。
なお、議員定数に関する過去記事は下記リンクをご覧ください。
(下が古く、上が新しい順です。)
- 議員定数は削減決定。が、減らすだけでは意味がなく、議会として町民の声を聴く場をつくるべき
- 議員定数を減らすことは誰のためになるのか?
- 議員定数を減らす理由は「声が多いから」と「まわりが減らすから」?
- 誰でもわかる議会のしくみと現状 - 浦河町の場合
- 『地方議員の逆襲』逆襲するのは誰か?議員定数を議論する前に確認すべきこと
- 慎重論や明確な反対も。浦河町の議員定数と議会のあり方をどうすべきか?
- 議員の定数と報酬の妥当性、浦河はどう考える?
- 議員定数調査特別委員会、定数削減するだけでは不十分では