端的に、大変おもしろかったです。
自動ドアが壊れがちな夕方の大黒座 |
チャーチルといえば、英仏連合軍がナチスの猛攻によって海岸際に追い詰められ、あわや全滅の危機だったところを、小型民間船を大量に動員してドーバー海峡を渡り救出するダイナモ作戦、そしてそれに続くヒトラーとの徹底抗戦を決断する稀代の政治家です。
そのあたりを描いた映画「ダンケルク」(大好きなクリストファー・ノーラン監督作品)も素晴らしかったですね。
映画チャーチル、何が面白かったのでしょうか。
自らの責務としてどう決断すべきか
チャーチルは自ら組閣した戦争内閣において、首相でありながら唯一ヒトラーとの交渉に反対し、徹底抗戦を主張します。
しかし、あまりにも強い政敵の交渉推進論に判断を迷い、最後までどちらが最良の選択か、悩み抜きます。
交渉に入ることが、英国首相の私としての責務なのであろうか。
そう自問自答します。
実際に私も一議員(ペーペーではありますが)として、議会という自治体の最高意思決定機関において、反対の意思を表明することは大変な勇気のいることだということを日々実感しています。
本当に反対すべきなのか。
今、やらないより、やったほうがいいことなのか。
このまちのために、今、それはなされるべきことなのか。
大げさに聞こえるかもしれませんが、それが問われてこその議会だと私は考えています。
全員一致で賛成が望ましいと言われている(少なくともそう思われている)議決の場、つまり最終的な意思表明の場で反対することは、問題となる明確な論点の提出と説得力をもったスピーチが求められるでしょう。
しかも、それは基本的にたったひとりでつくらなければなりません。
何回か議決の場で反対したこともある立場として、何かしら共感するものがあったのでしょう。
ちなみに映画ではチャーチルは、民衆や閣外の大臣に現状と悩みを率直に話し、自分はどうすべきか問います。答えは交渉破棄で一致。
互いに共振しあい、よく言えば鼓舞され、悪く言えば扇動され、全面対決に臨むことになります。
名場面でした。
言葉で未来に立ち向かう仕事
また、今の時代からは絶賛されるチャーチルですが、その当時においてはそれが本当に正しい選択なのかはまったくわからないものでした。
当時の閣僚からは単なるヒロイックな理想論者の無礼で傲慢な老政治家という評価だったようです。
未来のことは、誰にもわかりません。
しかし政治家の仕事は言葉によって未来を切り拓くことなのだということ、今の時代に評価されることと未来において評価されることはまったく別のことなのだということ、そうした大切なことをあらためて認識させられました。
大黒座について少し
今年で創業100年を迎える大黒座。
この前の「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」の上映に続き政治の映画が続きました。
また最近では、トラというやんちゃな猫の台頭により、大人気の看板猫チビを追いやることでその存在感を増すなど、こちらの政局も余談を許さない現状です。
台頭してソファに君臨するトラ |
影響力を失いつつあるチビ |
このあとの作品は話題の「スリー・ビルボード」やキルギスの馬のお話「馬を放つ」など目白押しで、楽しみです。