2016年9月15日木曜日

議員定数は削減決定。が、減らすだけでは意味がなく、議会として町民の声を聴く場をつくるべき

先ほど議会後に開かれた議員定数調査特別委員会が閉会し、議員定数を削減するか否かを採決し、削減が決定しました。

浦河町の現状を踏まえ、これからの浦河町のことを最後まで考え抜いたのですが、最後はやはり削減の立場で討論に望みました。
討論の原稿を以下の通り公開しますので、ぜひご覧ください。

浦河町議会の定数は削減すべき


定数は削減すべきとの立場です。
ただし、単に削減するだけでは意味がないと考えており、提案も同時にさせていただきます。


「定数は維持」とする意見の通り、一般論としては、人口が例え減っても集落の数が減るわけでもなく、産業の数が減るわけでもなく、行政部門の数も、もちろん性別の数も減りません。
確かに定数が多いほうが多様な視点から町政をチェックできることができるでしょう。

また例え選挙にならなかったとしても、定数が多いほうが新人が立候補しやすいというのもあるのでしょう。多いほうが各議員の負担も減り、新人も立候補もしやすいのかもしれません。
こうした考えについては、基本的に異論はありません。

しかし、今は一般論としての正しさを議論しているわけではありません
この町の議会、町民が選ぶ代表が集まる議会、浦河町議会の議員定数の議論です。
みなさんは、自分の支持者の声は聞いていると思います。しかし、支持者以外の有権者の声は聞いてますでしょうか

浦河町の現状と町民の声


いわく、 「今の議員は『選ばれた住民の代表だ』『人数は必要なんだ』というけど、実際に俺たちの話を聞いているか。しばらく口をきいたたこともない。報告会だって、自分の支持者も来てないみたいじゃないか。」

これは、単に今の行政や議会に不満をお持ちなのだと思います。
しかもその不満、「町や議員に言っても何も変わらない」とすでに諦めに変わってしまっている。
これが私の知る現状です。

支持者だけが町民ではありません。
特定の誰かを支持しているわけでもない大多数の声にも耳を傾けなければなりません。
みなさん、これが今の現実です。決して一部の極端な意見などではありません。

現役の議員としては、日々浦河町がどうしたらよりよくなるか、限られた時間と人数の中でそれぞれが支持者の声を聞き、精一杯調べ、考え、行動している中、大変悔しいところです。可能なら減らしたくないところです。
しかし、この現実からスタートしなければなりません。

来庁時に表示する名札。全議員にそれぞれ支持者がいます

住民と議会との信頼関係が失われてしまっている。住民が議会を諦めている。
これが「定数を減らせ」という声がでてくる根本的な原因です。

この状態を払拭し、議会への信頼を取り戻す。
浦河町議会を諦めないでもらう。
自分も議員をやってやろうと思われるような議会を目指す。

まずはこれが何より大事なことだと思います。

その声と無投票をどう受け止めるか


であれば、「減らすべき」という多くの町民の声にまずは真摯に耳を傾け、議会としてしっかりと受け止める。減らす。
その上で、ただ減らすだけではなく、浦河町議会の仕組みとして、町民の声をきちんと聞く体制をつくる。町政への関心をもっていただく。理解を深めていただく。
こうした活動を通じて、少しでも議会に関心をもつ町民を増やし、新人が立候補を考えてくれるような土壌を耕す。立候補しやすい環境づくりも一緒に考えていく。

こうしたことは、議員個人や会派の活動では限界があります。
こうした取り組みを議会全体として、積極的に、主体的に取り組んでいく。
「町民のみなさんの声を聞かせてほしいんだ」
「いいアイディアやできることがあれば聞かせてほしいんだ」
そういう姿勢をみせる。
その代わり、間違った認識は堂々と正し「こうなんですよ」と丁寧に説明する。
これは今だからこそできること、すべきことではないでしょうか。

昨年は無投票でした。
これは浦河町議会にとって大きな転換期です。

多くの町民は「ほら、だから多すぎなんだ。やっぱり定数を減らすべき」と思っています。
ところが、議会は無投票だったのにもかかわらず、「定数は減らさない。何も変えない」と維持の判断をすれば、どう受け止められるでしょうか。

「どうせ選挙をやらずに、楽にこれからもずっと議員をやっていたいということだろう」
そう思われます。

そんな事実は決してなかったとしても、現実には間違いなくそうとらえられてしまう。
今だけではありません。これから先もです。
議会への信頼が一層失われてしまうのです。

町民の議会への信頼を取り戻す


みなさん、私たちは「今の議会」のためではなく、「これからの議会」のための判断を「今」しなければなりません。
無風だった今こそ「数が多い方が住民にとってもいいことなんだ」という一般論にしがみつくことなく、これを機会に、議会は身を削ってでも、
「これから未来に向けて、覚悟を持ってしっかりと町政に取り組んでいくんだ」
そういう姿勢をみせるのにもっともよい機会です。
「お、今回は決断したんだな、見直した」
そう思われる議会像をお示しするチャンスです。

そしてただ減らせばいいというわけではありません。
減らして当たり前だと思われているからです。

ですから、それとあわせて今こそ、どういう議会であったら自分が現実に議員になれるか、なりたいと思えるか、町民に広く聞くチャンスでもあります。
これが提案です。

ただ減らすだけなく、声を聴く議会へ


つまり、現在の議会活動に今の議員それぞれが割いている労力、本業との兼ね合いの実態も含めてご説明して知って頂いた上で、ではどこまでどう活動をすれば納得頂けるのか、自分でもやれると思って頂けるのか。
このテーマに絞って真剣に意見を聞く場を設けるべきです。

削減することは、今の議員や町民にとっては決してプラスではないかもしれません。
しかし、未来のために、議会と住民の信頼関係を回復するために、間違いなくプラスになります。
「いくら言っても変わらない」
そういう町民の間にある諦めの気持ちを払拭する。
議会として、減らすという決断をし、広く声をきく体制をつくり、信頼関係を取り戻す。
そして一緒に新人が立候補しやすい環境づくりを考える。

そのためにまずは現状を知ってもらったうえで、議会とはどういうものなのかもお伝えし、どういう議会であれば議員になりたいと思えるかを町民から広く聞く場をもうける。
これに取り組むべきです。 

以上が私の議員定数に対する考えと提案です。
是非、全会一致で削減を決め、その決断を町民にお示しできないでしょうか。

賛否の結果


賛成は10(佐藤、斉藤、井上、神原、辻、中山、古江、櫛桁、木下、武藤)、反対は6(岡崎、武中、米谷、小原、鎌田、飯田)でした。
なおルール上、佐々木議長と荻野副議長(当委員長)は採決に参加しませんでした。

削減の数は今後、議論していきます。
反対の討論は武中、賛成の討論には武藤、木下、井上が意見を述べました。